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ツァイス七耀教会前 12:50頃

「アガットさん?そういえば、教会に行く途中ですれ違ったよね。」
訊ねられた青年は、確認するように連れの女に声を掛ける。
「そう言えばそうね。私たちには気づいてなかったみたいだけど。」
頷く女は、経緯を聞くと素っ頓狂な声を出した。
「・・・え?何、あれって式場から逃げ出してたの!?あっちゃあ・・・・!捕まえとけばよかったわ。」
「・・・まさかそんな事する人だと思わなかったからなあ・・・。てっきり何か用事でもあったのかと思ってたよ。」
エステルは額を押さえて空を仰ぎ、ヨシュアは驚き半分の呆れ顔でため息をつく。
「式までにはとっ捕まえてくるわ。まったく、神聖な式を何だと思ってんのかしらね。」
「式までには教会に着くようにするよ。待ってて。」
二人はそういうと、街中の方に駆け出していった。


人ごみにまぎれ、どこに行くかと考えていると、見知った顔を見かけた。
相変わらず、息の合ったボケとツッコミの会話を仲良く繰り広げている二人は今日の招待客で、自分達のかつての仲間。ここに居るという事は、仕事の都合がついたという事だ。これはティータが喜ぶだろう、と思いつつ、その横を通り過ぎる。式まであと1時間と少し。あまり下手な時間を喰いたくないし、今連れ戻されるのも嬉しくない。それに、招待客のあの二人とは式の後でもゆっくり喋れるだろうし、と・・・そう思ったからだった。
さて、どこに行こう。
昼から酒を飲むのは躊躇われた。それに式の後はおそらく宴会だ。今から飲む必要はどこにもない。
ふらりふらり、目に入ったのはそれでも居酒屋。にがトマトサンドなるゲテモノ料理を出すその店は、・・・なんとなく懐かしい感じがした。あのゲテモノサンドはまあともかく、コーヒーくらいは飲んでいっても罰は当たらないだろう。そう判断すると、彼はその居酒屋・・・フォーゲルに足を踏み入れたのだった。



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