光で出来たカタナが、巨大な機械をがしがしと斬り分けていく。そのたびに破片があたりに散らばり、一部は攻撃しているアルベルにも当たっているのだが・・・当の本人は全く気にせずに敵のど真ん中に突っ込んでいく。
「黒鷹旋!」
その後ろから短刀でフォローしつつ、ネルがあきれたようにぼやいた。
「・・・・それにしても生き生きしてるねえ・・・。」
近所で敵を吹っ飛ばしたクリフもうんうん、と頷く。
「水を得た魚って言うんだっけな、こういうの。・・・っと、エリアルレイドっ!」
また懲りずに寄って来た機械を避けるように飛び上がって、上から攻撃。哀れな機械はノイズ音を残して動かなくなる。ネルはそれをちらりと見、敵のど真ん中に居るアルベルを見て舌打ちをする。
「他見ないで突っ込むから、怪我の数自体は減ってないんだけど。・・・ヒーリングっ!」
ネルの手から出た光は、間違うことなくアルベルを包んだ。敵の一部が回復役の存在に気付きこちらに向ってくる。
「いいんじゃねえか?少なくとも顔色は大分前よりマシみたいだぜ。」
機械を蹴り飛ばし、乱打を叩き込んで、クリフも軽くアルベルのほうを見やる。
「アースグレイブッ!」
詠唱を終わった施術を炸裂させて、ネルもため息半分で頷いた。
「・・・あいつに他のフォローとか、やっぱり合わなかったんだねえ・・・」
「・・・まあ、最初ッからわかってたことだがな。」
加勢しようと駆け出そうとしたところで、最後まで残っていた機械が崩れ落ちた。
「お、終わったみたいだぜ。」
「そうみたいだ。さて、あの戦闘バカを回復してやらないとね。
・・・アルベル、こっち来な!回復するよ!」
「ああ、怒鳴らなくても聞こえるってんだ、阿呆。」
傷だらけで戻ってくるアルベルの顔に疲労の色は、ない。それは、どちらかといえば機嫌がいい、に分類される表情で、その妙に楽しそうな表情にネルとクリフは呆れ混じりに苦笑するしかないのだった。
『・・・・(わかりやすい奴。)』
その脇で。
「クリフさんたち、凄いよね。あんなに雑談しながら普通に敵片付けてる・・・」
年長組が戦闘後の休憩を取っているのを眺めて、ソフィアがため息をつく。フェイトも頷いた。
「ああ・・・真似できないよな。したくもないけど。」
ほんとよね、と、マリアも首を振る。
「・・・・あんなに余裕な顔して、足元すくわれなければいいんだけどね。」
3人は、ちらりと年長組をみて・・・深く頷いたのだった。
ええと、この話には前段階がありまして。この3人でやる前は、アルベルが引率でソフィアとマリアのレベル上げやってたんですよね。死にかけながら(アルベルが)。
甲斐甲斐しく回復薬使ってお嬢さん方庇って・・・と、アルベルじゃないような動きをしてたんですが・・・。そういうことしてたらお金がなくなったので、レベル上げじゃなくてお金稼ぎをしなきゃいけなくなりまして。稼ぐだけなら高レベル組でやった方が早いって事で、この時久方ぶりにメインパーティで稼いでたのでした。
戦いやすいし、突っ込んでいっても誰かしらフォローしてくれるしで、水を得た魚状態だったような気がします。お嬢さん方2人の子守りしてたときよりは、多分顔色も良かったんだろうなあという妄想。
ちなみに、うちのメインはアルベル・ネル・クリフの成人組です。3人とも最終的にはヒーリング覚えてたので、ある程度は安定して戦ってられました。