ルグランから話を聞いて4日。もはや馴染みになってしまったツァイスの空港に降りる。
大きな紙袋の中に色々と詰め込まれ、気がつけばとんでもなく大荷物になっていた。持てないというわけではないが、それでも嵩張るのはあまり嬉しくは無い。
・・・もっとも、最大の荷物は自分が選んだのだから仕方ないのだが。
「もうそろそろ来る頃だと思ったわ。」
その足で遊撃士協会に行くと、受付のキリカがしれっと出迎えた。
「そりゃな。わざわざルグランのじーさんにまで言付けられたら来ざるを得ねぇよ。」
「私は定期連絡のついでに言っただけ。別に言付けたわけではないわ。」
「・・・・・・絶対確信犯だろ・・・。」
その相手が、あのタイミングでルグランだったあたり、どう考えてもそうだ。しかし、そこを深く突付いてもかわされるのがオチだ、と直感した。
無言で荷物を引っ張り出すと、大きな紙袋はいい音を立てて割けた。散々だ。
しかし、とりあえずは仕事が先だ。ため息をついて、本題に入る。
「・・・頼まれてた荷物だ。確認してくれ。」
「随分大きなプレゼントね。貴方が選んだの?」
荷物を渡す前に先手を打たれた。思わず舌打ちが洩れる。
「・・・・・・・・・・どうだっていいだろ。これ3つで全部だ。確かに渡したからな。」
キリカはてきぱきと荷札と荷物を確認すると、一つ頷いた。
「・・・ごくろうさま。確かに受け取ったわ。」
書類の記入を指示すると、棚上に置いていた小さな包みを持ってくる。
「今日は博士もティータちゃんもご在宅よ。」
書類を書きながら生返事をすると、その横にそれが置かれた。挟まったカードには『誕生日おめでとう』の文字。
「これは個人的に、私から。よろしく言っておいてね。」
「へいへい。」
「それと、袋を詰め替えていきなさい。一番大きいのは入らなさそうだけど。」
顔を上げれば、それなりの大きさの包みが差し出された。
「・・・そうする。すまねぇな。」
素直に受け取って礼を言えば、キリカは肩をすくめて小さく微笑んだ。
「貴方は、ティータちゃんが絡むと素直になるのね。」
手元の袋が一枚、破れた。