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遊撃士協会ボース支部 14:00

遊撃士協会の扉が閉まった。行ってしまった人の背中を見送って、一つ息をつく。
「・・・アガット先輩行っちゃいましたね。」
「じゃな。さて、報告を聞かせてもらうとするかの。」
「あ、はい。」
型どおりに報告をしている間に、ルグランは書類を手際よく片付けていく。最後の書類に報告終了のサインをしながら、アネラスはふと疑問を口にした。
「そういえばアガット先輩・・・あんなに仕事請け負ってプレゼント用意する気あるんでしょうか?」
先ほど見えていたのは書類が何枚か、ではなく、束だった。普通に考えればあの量は1週間分・・・くらいには相当する。ルグランは少し驚いたように笑った。
「なんじゃ、見とったのか。
 ・・・ま、大丈夫じゃろ。どれも短期の力仕事じゃし。」
飄々と、何か裏があるような無いような口調。それは、あの仕事が決して楽なものではない事を現していた。なんとなく、嫌な予感がする。
「・・・力仕事?・・・て、まさか。」
「手配魔獣を7件ほどな。東ボース街道、アンセル新道から西ボース街道まで、強い順に選んでみたんじゃが。・・・まあ、根性出せば片付くじゃろ。」
隠す事でもないしの、とルグランはあっけらかんとそう言う。
・・・鬼だ。
それが表情に出ていたのか、ルグランはさらに言った。
「まあ、ゴタゴタが多くて手配魔獣がちょっと後回しになっていたんじゃ。今あやつに休みを取らせるなら、それくらいの事はしてもらわんとな。」
「・・・・・あ、そっか。・・・まだ国境大変・・・ですもんね。」
それなら仕方ないか、と思ったのがまた顔に出ていたらしい。
「今は小康状態じゃよ。まあ、ちょっと位苦労があったほうが楽しいからの。はっはっは。」
ルグランは楽しそうに笑うと、今度はまた依頼書を引っ張り出してきた。
「さて、アネラス。お前さんにはこれじゃ。」
7枚綴りの束が一つ出てくる。アネラスが手にとると、ルグランは一つ息をついた。
「・・・まあ、少々てこずるかもしれんが頑張ってくれ。今のお前さんならなんとかなるじゃろ。」
ひらひら捲れば、中身は調査と折衝の抱き合わせだった。確かにこれはてこずりそうだ。
「・・・う・・・確かに難しそうですね。」
「やめるか」
ルグランが最後まで言う前に、アネラスは叫んでいた。
「いいえ!」
てこずりそうでも、これをルグランが任せてくれたという事が嬉しかった。
「やります。私は遊撃士ですから!かっちりしっかりやり遂げて見せます!」
「そうか、よく言った。・・・お前さんも頼もしくなったの。」
ほっほ、とルグランは嬉しそうに笑う。
「いいえ、ありがとうございます。」
小さく首を振って、頭を下げる。ルグランが頷く。なんだか、少しだけ大人になったような気がした。
「さて・・・これに取り掛かるとしばらく何も出来そうに無いからの。用事があるなら先に済ませたほうがいいぞい。」
言われて、ハタと気付く。仕事の話の前は何の話をしていたか。プレゼントの話だ。
「あ、はい!・・・ええとっ、とりあえずティータちゃんのプレゼント買いに行って来ますっ!」
ばたばたと慌ててギルドを飛び出す。
「あまり遅くなるでないぞー!」
「はーいっ!」
追いかけてくる声に景気よく返して、アネラスは遊撃士協会の扉を閉めたのだった。



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