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リベール国外 某所 23:10

夜の灯りが、室内を照らす。テーブルについているのは、二人。
紙束を持ち、眉間に深くしわを刻んで、一人は押し殺したように言う。
「何度読んでも結論は一緒だわ。」
ぐしゃり。
いい音で手紙が握りつぶされた。
「・・・帰らないとダメね。もう父さんには任せておけない。」
その声は、深く強い決意の響きを持っている。もう一人も頷いた。
「・・・そうだね。さすがにこれは心配だ。僕も賛成するよ。」
こちらも、穏やかに聞こえるのに、動かない意志が見える。
「何が何でもこっちを片付けて戻らないと。今からやればどれくらいで戻れるかしら・・・
 仕上げ、引継ぎ、・・・一ヵ月半・・・いえ、1ヶ月。」
ぶつぶつと呟く彼女に、彼は頷いた。
「頑張ろう。僕も出来うる限りの事はするから。」
「貴方がそう言ってくれると、本当に心強いわ、ダン。」
彼女も頷く。
「誕生日には間に合いそうに無いけど。ああもう、何も無ければ今すぐ飛んでいくのに。」
ため息をつく彼女に彼は言った。
「だめだよエリカさん。来年は確実に間に合うんだから我慢しないとね。
 ・・・そういえば、もうそろそろカードが届いてるんじゃないかな。この間出した分が。」
「ああ、そうね。喜んでくれるといいけど。
・・・・喜んだあの子の顔は、きっと天使より可愛いんだわ。決まってるもの。」
うっとりと、彼女は呟く。
否定するところは露ほどもカケラほども一ミリも見当たらなかったので、彼も微笑んで頷いたのだった。



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