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遊撃士協会ツァイス支部 13:40

「仕事内容は以上よ。なるべく早くできると助かるんだけど。」
ミリアムの説明に、キリカは軽く頷いて応えた。
「了解しました。遊撃士協会はこれを正式な依頼として受理します。
 時間の事ですが、あまりしないうちにグンドルフが来ますから、余程のことが無い限りそちらに向わせられると思いますよ。」
言うと、ミリアムが驚いた表情でこちらを見た。
「あら、グンドルフさんが来るの?」
「ええ、昨日報告を受けましたから。一休みして今日の昼ってところですね。」
そして、今は折衝事のような経験を要する依頼は来ないだろうし、急用も来ていない。そして他の遊撃士からの報告は受けていない。・・・もちろんそれは、頭の中の計算だ。
「助かるわ。気がきいて、仕事早くて、落ち着いてて常識人で。」
「それは、経験の差としか言いようがありませんけど。」
何せ、リベールに今居る遊撃士の中でも古株だ。それだけに、単発の雑用に行くことは珍しい。
「まあ、落ち着いてるのは当たり前か。あのダンさんと同期なんだし。
 ・・・あ、そうそう、もう一つ。」
ミリアムは、なにやら思いついた風にこちらを見る。
「何か他に依頼でも?」
訊けば、ミリアムはにっこりと微笑んだ。
「いいえ、世間話よ。今度の木曜日、ティータちゃんの誕生日なの。まあ、中央工房でそれを知らない人は居ないんだけど。」
それはキリカも聞いていた。中央工房で知らない人が居ないのは、例年時期が近づくと母親が事あるごとに惚気るからだったらしい。そんなこんなで、彼女の誕生日は中央工房の一般常識になっていたりする。・・・ちなみに、本人はまだその事実に気付いていない。
ミリアムはさらに続ける。
「ところがね、ティータちゃんの誕生日を知らない不届き者がいるらしいのよ。月末ごとに顔見せに来る位親しいっていうのにね。」
「・・・・なるほど。」
そのあたりで何となく話が見えた。
「ホントねえ、月末近づいた時のあの幸せそうなティータちゃんを是非一度見てもらいたいわ。何にでも一生懸命で、そのくせ幸せそうな顔しちゃって可愛いったらないの。
・・・あんなに懐いてるのよ?せめて誕生日プレゼントくらい期待してもいいと思わない?」
くすくすくす、と笑いながら話の俎上に上がる人物は、会話に名前は出てこなくてもはっきりと顔が浮かぶ。しかし彼は今、・・・多分国の反対側に居るのではなかったか。
「それは、呼び出すのは難しいでしょうね。」
話の流れから当たりをつけると、ミリアムは笑った。
「そこまでは言わないわ。何かのついでに伝わるといいなあって思っただけよ。」
「なるほど。世間話として覚えておきます。」
軽く頷くと、ミリアムはいたずらっぽく笑った。
「時候の挨拶としても使えるわよ。中央工房限定だけど。
 じゃあ、ありがとう。またよろしく頼むわ。」
そう言って、一つ礼をする。
「こちらこそ。では、また。」
キリカはそう言って、依頼人を見送ったのだった。


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