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CHIBI・de・babi・DEBOO!!

それは、変な形をした、異様にでかい・・・魔獣だか機械だかも良くわからない物体Xだった。
天眼クオーツによれば、一応名前もあるらしいのだが、とりあえず判っているのは、いきなり襲い掛かってきたこの物体Xは敵であると言う事である。
食虫植物を変な方向に巨大化させたようなフォルムは、なんとなく・・・食虫植物の口に該当する部分で噛まれそうな感じである。一瞬の判断で、噛まれても防げるくらいの大型の武器を持つ二人が前衛に走り出て、迎撃が始まった。
「覚悟してください!」
とりあえず、魔物の口目掛けて、ティータが煙玉を撃ち込む。
物体Xは、煙玉を飲み込んだ後、ぼん、と膨れて口だか何だか良くわからない穴から煙を吐き出した。その姿はなんだか妙におどけている。
「・・・き、効いてる・・・んだよね?」
それも良くわからない。
もう一発、今度は炸裂弾を装填する。
前に出ているアガットやエステルが一瞬射線から外れたのを見計らって、ティータは炸裂弾を撃ち込んだ。
威勢のいい音がして、物体Xがよろける。今度はダメージが入ったらしい。
よし、と、小さくガッツポーズをすると、もう一発炸裂弾を装填し、前を確認。
・・・と。
物体Xと何かが合った・・・様な気がした。人間でいうなら視線、だろうか。
「え?」
トリガーに指を掛けて一瞬。そちらに気を取られた間に、ティータの体を変な光が包んでいった。
「ティータ!?」
自分を呼ぶ声が大きく響く。周りのものも大きくなる。なのに、敵が妙に遠い。仲間も遠のいていく。
「な、なにこれ!?」
これでは攻撃どころか回復すら掛けられない。
慌てて前の方に駆けて行く。・・・が、一向に距離は縮まらない。
「ティータ!前に出すぎてる!!」
半泣きで、それでも駆けて行くと、後ろから大声が響いた。
「ふえ!?」
「馬鹿!!出てくんじゃねえ、踏み潰すだろうが!!」
前からも雷鳴のような大声が聞こえてくる。
「ティータ、下がって!私が後でお持ち帰りするから!!」
「え?え?」
何が何やら。とりあえず、今来た方向に向かって全力疾走。
ダンッ・・・と地面に衝撃が走り、強風が吹いてきた。思わず体を低くして防御する。
「行くよ!」
はるか前方でさっきまで後ろにいたはずのヨシュアの声がした。
「OK!」
「任せろ!!」
3人の畳み掛けるような攻撃。大きな地響きが聞こえてくる。
先ほど変な光線を放ってきた物体Xが沈黙した、ようだった。


「ティータ、大丈夫?」
エステル達がティータの傍に駆け寄ってくる。
視点はやっぱりおかしい。おかしいというか・・・・ここに来て気づいたのは、どうやら自分が小さくなっていると言う事だった。おそらく赤ちゃんほどのサイズなのだろう。
「うん、大丈夫。迷惑掛けてごめんなさい。」
精一杯見上げて言うと、エステルの手が伸びてきた。
「え?」
それはティータの体を抱え上げて、そのまま抱きしめる。慌ててエステルの首に腕を回して自分の体を支える。
「うー・・・可愛い!このままお持ち帰りしちゃダメかなあ。」
「エステル、今はそれどころじゃないだろう。」
ため息交じりにヨシュアが荷物を検める。
「ったく、チビスケがさらにチビになりやがって。」
アガットの指が、ぺち、とティータの額をつつく。
「チビチビって・・・」
ティータが文句をいおうとしたところで、アガットはふい、とヨシュアのほうを振り返った。
「で、こりゃキュリアで戻るのか?」
「よくわかりませんが・・・この中にはなさそうでしたから、多分。」
荷物の中から、パーム、ソール、リーベ、Sタブレット・・・と各種薬を出して使用法を見ながらヨシュアが言う。
「そうか。」
アガットはポケットの中からオーブメントとクオーツを引っ張り出すと、冷静に嵌め換えた。
「オラ、チビスケを元に戻すぞ。」
「はわっ!?」
エステルの腕の中から、軽々と取り上げられて、無造作に床に下ろされる。
「あーん、もうちょっと堪能したかったのになぁ。」
不服そうなエステルはほぼ無視。アガットがオーブメントを駆動させると、アーツの光が、ティータを取り巻いて・・・そして、視点が元に戻った。
「あ、ありがとうございますっ。」
見上げて礼を言う。
「・・・別に礼を言われるような事じゃねぇ。」
アガットはクオーツを付け替えながらため息をつく。
「このまま付いて来られたら、あまりにチビ過ぎて踏みつけそうだから元に戻しただけだ。」
「(滅多に使わないクオーツに付け替えてまで?)」
「(・・・荷物の中にはキュリアの薬もあったのにね。)」
後ろの方でエステルとヨシュアがくすくすと笑っているのを睨む。
そして、・・・なんだか少々ぎこちない動きで元のクオーツがきちんと嵌っているかを確認して、ポケットの中にしまいこんだ。
「えと、あの・・・」
ティータが見上げると、アガットはぼふ、とティータの帽子に手を置いた。前の方を押された帽子は、ズレてティータの視線を覆う。
「あぅ。」
「ま・・・ここにいる以上は、お前も大事な戦力だからな。状態異常くらいは直してやるさ、チビスケ。」
帽子から手が離れた。前の方にズレた帽子を被りなおして前を見ると、アガットはすでに踵を返している。ティータは、ちょっとだけ嬉しいような気持ちを抱えて、アガットを追いかけたのだった。



アガット&ティータって、何か知りませんが「戦闘中」みたいな非常時の情景が一番先に浮かぶんですよね。
それはさておき、実は中枢塔のチビデバビデブーな技喰らって、キャラクターがちっこくなった瞬間、「アガットさんとティータだったら!」と一瞬で思考が行きました。想像すると楽しくて。技喰らうたびにニマニマしてました。はっきりいって怪しい人でした、私。
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