届いた手紙に、ティータは表情をほころばせた。
封筒の中には、厚手でシンプルな白いカード。・・・開くと、それは不思議な音階を奏で出した。
・・・・はっぴー ばーすでー とぅー ゆー・・・
小さくそんな声も聞こえる。ちょっと調子ハズレのお誕生日の歌。思わず声があがる。
キラキラ輝く小さなオーブメントがあって、それはカードの真ん中、誕生日ケーキの上に燦然と輝いていた。
「ほう、カードの中に仕込めるくらい小型化できたんじゃの。なかなかやりおるわ。」
ひょい、と覗き込んだ博士が、珍しく感心の声を上げる。
「凄いよね!どうやったらこんな風に出来たんだろう・・・」
カードを開いたり閉じたりすると、音も鳴ったり止まったり。センサーが入っているのだろうか。
「回路の小型化と構造をシンプルにするのが入り口じゃな。どれ、ちょっと中を」
手を出してくる博士の手を、ティータは慌てて止めた。
「待っておじいちゃん、手紙一応読んでからにしよう。」
カードはそれなりに可愛くて、即分解には少しためらいもあった。
「まあ、そうじゃの。」
博士も引き下がる。
『ティータへ
お誕生日おめでとう。今年もまた会えなくてお母さんもお父さんも残念です。
お母さんとお父さんが居ない間に、色々なことがあったみたいだけど、元気そうでよかったです。今度会う時に、たくさんお話聞かせてもらうね。その日を楽しみにしてます。
それじゃあ、気をつけて、おじいちゃんと一緒に元気にしててください。
またね。
お母さん・お父さんより。
P.S.
カードの設計図を同封してます。分解する前に見てみてください。』
「っほー・・・さすが、ソツがないのう。」
追伸部分の筆跡は、明らかに父親のものだった。
「わぁ・・・お父さん、偉いっ。」
カードをたたんで、設計図を引っ張り出す。
両親の丁寧な解説付きの設計図に、またティータは感動の声を上げた。それを見ながら博士が楽しそうに笑う。
「最高のプレゼントじゃな。」
「うん!」
元気に返事をして、ティータはじっと設計図に見入るのだった。