酒場帰りのほろ酔い加減で、連れが取っている部屋を確認し、向かう。この時間ならいい加減皆おとなしくしているだろう、という目論見もあった。ルシェの選択なのは嫌になるほどわかるが、おかげで今のパーティは万事に付けうるさい。街道を行く道すがら、怒鳴りつけたのは一度二度ではなく、・・・別行動をしている街中でくらいは羽を伸ばしたかった。・・・それで、つい酒場に長居していたわけなのだが。
「あーっ、やったわね!?」
せめて一人二人寝ていてくれれば、という期待は、部屋の前に到着する前に脆くも崩れ去った。
「へっへーん、こっちは二人なんだからね!」
「えへへっ、ごめんねぇ、ルシェ。」
きゃあきゃあうるさい笑い声に混じって、ばたばたと音がする。
扉の前で深々とため息。しかし、止めなければ自分に安息はない。
「いい加減にしろ、騒々し・・・」
扉を開け、そういった瞬間、顔に何かが命中した。ばふ、という間の抜けた音と共に。
落ち行くそれを掴む。まごうことなくそれは枕だった。
「・・・・・・。」
「あ、セラ、お帰りー。」
明るく迎えられても、明るく返す気には到底ならない。
「お前たち、一体何をやってる・・・?」
低く、一応、問うてみる。怒りがにじむのが自分でも判った。
しかし、相手は何も気にしていない。
「えーっとぉ、ルシェとエステルとルルアンタで枕なげやってたんだよぉ。」
明るく、けろりと答えが返ってくる。
三人の手には、確かに枕が一つずつ。どうやら、部屋にあるものはすべて使っていたらしい。自分の分も含め。
「セラも混じる?」
「混じるかっ!」
悪びれない三人に、反射的に怒鳴った。
「夜更けに騒ぐな、迷惑だッ!大体お前ら子どもじゃあるまいし」
いや、子どもといえば、十分子どもでガキでお子様の甘ちゃんである。・・・頭の痛い事に三人とも。
「とにかく。
・・・俺は寝る。以降騒いだら部屋から放り出すからな。」
セラが出てけばいいんじゃない、という呟きを睨みつけて潰す。
自分の場所をさっさと確保し、先ほどぶつけられた枕をベッドにたたきつける。
明かりを消すと、闇よりさきにブーイングが広がった。
「黙れ。騒ぐな。今何時だと思ってる?非常識にもほどがあるだろうが!」
言い捨ててさっさと横になる。聞く耳持たない、を態度に出せば、自然騒ぎも収まった。
目を閉じる。酒はようやく回る気になったようで、すぐに身体は眠りに入ろうとした。
「・・・ノリ悪いわねー。」
「・・・明かりいきなり消すなんて、ちょっと横暴だよぉ・・・。」
「・・・非常識って言われるなんてね。よりによってセラに・・。」
夢と現の狭間で、こそこそこそっ、と声が聞こえる。身体を動かす気になれず、黙殺した。無論、記憶もしたが。
・・・後で覚えていろ。そう思った。
ミイス娘のパーティは基本がこんなイメージです。メンバー違うと少しは違うとは思うけど。セラ頑張れー(棒読み)