圧倒的な体格差にもかかわらず、果敢に挑み、戦い、そして掴み取った栄光である。観客は沸き、闘技場の歴史に新たな一ページが刻まれた。
新チャンピオンには、賞金のほかに惜しみない賞賛、そして矢継ぎ早の質問が贈られた。
闘技場に設けられた壇上、聞き手が声を通らせる。
「まずは、チャンピオンになられた感想をどうぞ。」
「嬉しいです!レーグと戦うなんて、以前は夢のまた夢だったけど、こうやって手が届いた事に感激してます!」
ルシェは、満面の笑顔でそう答える。
「勝因はなんですか?」
「私の体力が最後まで保ったから、ただそれだけです。本当に危なかった。でも、いい試合だったと思います。」
続く質問も、よどみなく答えていく。そこにあるのはただ、勝利の喜びだけだった。
「勝ち抜くコツはありましたか?」
「運です!」
必要以上にきっぱり言い切り、聞いた方が呆然とそれを見つめる。しかし、ルシェはそれに気づかない。
「セラが・・・私の連れが出てきたらここまで来る事は出来なかったと思います。どうしても勝てないんですよねー。」
見守っていた彼女のパーティが噴出し、パーティと共に居たセラはそれに低く舌を打った。我に返った聞き手が話を纏めに掛かる。
「えー、それでは最後に一言お願いします。」
「セラー!もしチャンピオンになったらなんでも言う事聞いてやるって言ってたの、忘れてないからねっ!」
ルシェは観客席に向かって思い切りの私信を叫んだ。先のやり取りで既に観客席から出ようとしているところだったセラが、それにうっかり振り向いてしまい、観衆が笑いに包まれる。闘技場の真ん中からはもちろん、周囲の視線までもがセラに突き刺さった。
それは、初めてリベルダムにやって来た時・・・ルシェが闘技場で一戦も勝てなかった時の古い約束だった。
約束、というよりからかい。安請け合い。あるいはその場しのぎの適当な言葉である。まさか数年でチャンピオンに手が届いた上にそれを覚えているなど、セラも思っていなかった。が、壇上の人物はしっかり覚えていたらしい。
「一生私の下僕やりなさい!」
叫ばれた言葉に怒鳴り返したいのを耐え、セラは無言で一瞥を返した。壇上のルシェが見た目にも露に怯んで、満場の爆笑が巻き起こる。
「えー・・・頑張って説得してください。
それでは、楽しいお話をありがとうございました!!新チャンピオン、ルシェさんでした!」
聞き手は、肩を震わせながら話をしめた。興奮と笑いで散会。ルシェは壇上を降りる。
控え室を抜け、応援に駆けつけていた仲間の元に戻ると、迎えたのはここでも祝福と笑いだった。
ルシェはそれに笑顔で応えて、・・・ふと辺りを見回す。
「あれ?セラは?帰っちゃった?」
「・・・そりゃねえ。」
くすくすと笑いながらエステルが答える。
「セラ、機嫌悪かったよー。もう、眉間の皺なんか深い深い。」
「でしょうねー。でも、約束は約束だもんね。ちゃんと取り立てるわよ。」
あはははは、と笑いながら、一抹の不安はどうしてもよぎる。
「そうだね。ボクたちは今日は酒場にでも行ってるから、ゆっくり話し合うといいよ。」
すっと身を引いてエステルが笑った。少しだけ笑顔は控えめになっている。
「エステル、付き合ってくれないの?」
「うん、アンギルダンのおじーちゃんと一緒に酒場に行こうって、さっき約束したんだ。」
ね、と真紅の鎧の老人に声をかける。アンギルダンは肩を震わせて笑った。
「まあ、交渉はお主とセラと二人でやればいい。だが、宿を破壊するような事はやめるんじゃぞ。」
アンギルダンの方は、別に逃げているわけでは居ない。ただ、面白がっているだけだ。
「さて、わしらは行くかの。まあ、健闘を祈る。」
笑いながら、アンギルダンはエステルを連れて街に出て行ってしまった。
「うん、またあとでね。」
見送って、一息。ルシェは宿の方を見やる。
嬉しくて、ついつい調子に乗ってあんな事を言った訳だが、さすがに上手くいくとは思えなかった。腕ずくで言う事を聞かせる、・・・と言っても、正直セラに勝てる気はしない。何せ、一度たりとて勝った事が無いのだ。ここまでくると、なぜか、である。手合わせしてもらう時も、剣を構えて前に立たれるだけで一瞬自分の腰が引けるのが判るし、打ち合っても、なぜか・・・本当になぜか、気合を入れた攻撃に限ってかわされ、次の瞬間目の前に剣が突きつけられている。苦手というのか、鬼門というのか。どちらにせよ勝てていないには違いない。
いやでもしかし、剣聖の称号は手に入れた。
きっと、・・・少しはきっと自分の事も認めてくれたはず。
セラだって少しは喜んでくれているはず。・・・そうだといいな、と思う。これは願望でしかないが。
それで、お祝いにちょっとくらいお願いだとかワガママだとかを聞いてくれてもいいのではないだろうか。聞いてくれていいはずだ。そうに決まった。
よし、と気合を入れて宿へ歩き出す。揺らぐな、と自分に言い聞かせる。
ちょっとくらい致命的でも、大丈夫。だと信じたい。
・・・ちょっとくらい致命的な問題。
それは、今夜、はたしてセラが口を利いてくれるかどうか、だったりするのだが。
「ただいまー」
寄り道で時間を潰し、夕刻に部屋に戻る。入った所には、先客が居た。
艶やかな黒髪が夕日を受けて朱金を映している。全身黒ずくめのその姿は、何も知らなければ綺麗、美しいで通るだろう。それは、ディンガル帝国随一の才媛・・・ではなくて、セラだった。
ルシェが戻ってきたところで振り向きもしない。
「セラ、約束の件だけど。」
声を掛けても無視である。普段なら返事くらいはすることを考えれば、これは相当に機嫌が悪い。
「下僕が嫌なら召使でもいいんだよ。」
気合を入れた冗談も、沈黙と無視で流された。いや、背中から何か怒りが滲み出る。
「ねえ、セラってば。」
えい、と後ろから抱きつく。即座に振り払われ、身体が宙に浮く。
一瞬の後、派手な音をさせて、ルシェは背中から床に落ちた。
衝撃に一瞬痺れる。痛みを堪えて目を開けると、驚いた表情でこちらを見下ろすセラと目が合った。
一秒して、その目線は気まずそうに逸らされる。
ルシェは身を起し、もう一度セラに近寄った。
「・・・新チャンピオンは受身も取れんのか。」
言われて、一瞬止まる。
「・・・室内では少しくらい手加減するもんじゃないの?」
文句を言うと、無愛想な言葉が返ってきた。
「本気なら、お前は起き上がれていないだろう。」
「力加減は間違ってた。」
「他人を下僕扱いしたがる人間にはそれでも足りん。」
返って来るのは良いが、総じて冷たい。
「でも、もしチャンピオンになれたら、なんでも言う事聞いてやるって言ったじゃない。
セラが忘れてても私は覚えてるよ。その為に頑張ったんだから。」
それは、最初に闘技場に出た時の事だった。
もしレーグに勝ったりしたら私は英雄だね、と。そう言ったら、お前には無理だ、と冷たくあしらわれた、あの時。
『でも、頑張ればいけるかもしれないじゃない。』
どんなに言っても、言葉は決まって一刀両断だった。
『お前の剣の腕でか?遠いな。』
ふん、と鼻で笑われた。それが悔しくて食い下がった。
『じゃあ、私がもしチャンピオンになったらどうする?』
『無駄な事を言うな。』
返事はやっぱり冷たくて、それが悔しくてまた食い下がったのだ。
『そんな事無い。・・・そうね、私の言う事一つなんでも聞くってどう?』
『下らん。馬鹿馬鹿しい。大体万に一つも無いだろう。』
『万に一つも無いなら、別に約束しても大丈夫よね?』
全く相手にしないセラに、子どものような揚げ足取りを仕掛ける。セラは軽く息をついた。
『・・・それはそうだが。無駄な話だ。』
『じゃあいつか私がチャンピオンになったら、その時はちゃんと言う事聞きなさいよ?逃げるなんて格好の悪い事、まさかセラがやるとは思わないけど。』
拗ねたように、挑発するようにそう言ったような、そんな記憶。
『なれるものならなってみるがいい。その時は言う事くらいは聞いてやろう。まあ、ないだろうがな。』
セラはあの時、確かに了承したのだ。少々不機嫌な顔、面倒そうなため息と、呆れたように肩をすくめていた事も覚えてはいるが。
『・・・全く、下らん事だ。』
そして、そう言っていた。端から相手にしていなかった。
だから、余計に燃えたのだ。
冒険者としての、日々の戦いの経験は確実にルシェに力をもたらしてくれた。元からの才能か、目の前の手本が良かったのかその辺りは不明だが、周囲が驚くほどの出来だった。
セラにはまだ勝てていない。それでもこれは、認めてほしくて、いつか見返してやると思って頑張った結果である。
チャンピオンに勝ったこと。剣聖の称号。それはそのまま大陸最強の名だ。
「全く、下らん事をいつまでも覚えているな。」
ち、と舌打ちが聞こえた。この態度からすれば、セラも忘れては居なかったらしい。それは・・・少し嬉しかった。
「約束は約束よね。」
よ、っとベッドのふちに腰掛ける。
「聞いてやる。だが、やるかどうかは別の話だ。俺は断じてお前の下僕などせんからな。」
そう言って、セラもこちらに向き直った。剣呑さの混じった視線にさらされて、一瞬身が固まる。
「・・・。」
息をついてそれを解くと、ルシェもセラに向きあう。
「あのね、セラ。・・・・」
その瞳を見据える。
今まで、いくつも願い事を考えて来た。それこそ、下僕から召使から出し物まで、何をしてもらおうかと楽しみに考えていた。
しかし悲しいかな、そんな事を吹き飛ばしてしまうくらいに切実な願いが、今はあった。
今日の勝利を一番に知らせたい人が、今は居ないのだ。
「兄さんを呼びたいの。」
一言で、一気に空気が凍りつく。
その人・・・やっとの思いで助け出した兄は、今はパーティを抜けていた。原因は平たく言えば、セラとの仲違いだ。
「俺に外れろという事か。」
返答は、そんなわけで予想の範囲内だった。子どものような拗ね方だが、兄がセラにやった事を思えば当然といえば当然だとも思う。
「違う。アンギルダンのじーちゃんと変わってもらうつもり。親子水いらずで」
「いや、俺が抜けさせてもらう。」
言葉の途中でふいと背けられた表情には、隠す気もない怒りが見えた。
「セラ。いい加減兄さんと仲直りしてよ。さっき、何でも言う事聞くって言ったでしょ。」
「聞くだけだ。やるとは言ってない。」
それだけ言って、立ち上がろうとする。
「待ってよ、セラ!」
手加減なぞしている余裕はない。力の限り腕を掴む。さすがに痛かったのか、セラが顔をしかめた。
「シェスターさん取られて気分悪いのは判るわ、でも、いい年してんだからいい加減機嫌直しなさい!」
「黙れ、お前には関係のないことだ!」
激昂というのは、まさにこれだった。腕が乱暴に振られ、手を振り剥がそうとする。
しかし、予想の範囲内ならば対処も比較的容易だった。全力で腕を握り締め、振り払われないように踏ん張る。
「関係あるわよ、私の兄さんの事よ!義姉さんの事でもあるわね!」
「!!」
ぎっと見開かれ、睨みつけるその瞳には、確かな怒りがあった。名を呼ばれるだけでも萎縮してしまいそうな、苛烈な炎。それをひたと見据える。負けるわけには行かない。
「義姉さんにも考えがあるんだろうって、セラが一番わかってるんでしょ?」
一つ一つ、区切りながら言う。そうでもしなければ、この威圧に・・・あと、同情心に耐えられる気がしなかった。
そもそもセラが怒るのは当然なのだ。
パーティに入ってから、兄はたまにギルドで手紙を受け取っていた。それ自体はそれぞれによくあることなので気にしては居なかった。しかし、ある時たまたま、その署名が見えたのだ。シェスターのものだった。自分でも見たから覚えている。無論、セラは顔色を変えて兄に詰め寄った。
・・・が、兄は関係ないの一点張りでその場を引いた。かなり強引に。
以来、手紙の事を問い詰めてもシラを切られ、かわされ続け、・・・そのくせシェスターの事は話題に上るものだから、あっという間にパーティ内の気まずさは最高潮に達し、・・・それで、ひとまず話の判ってくれそうな兄の方をパーティから外したのだ。
兄の方は仕方ないなあと言っていたが、セラの身になればそりゃ怒るだろう、と思う。いや、セラの怒りがあまりに深かったので逆に落ち着いてしまった部分もあるのだが、ルシェ自身もさすがに怒りを覚えた。自分でも同じ仕打ちをされたら縁を切ることを考えるだろう。少なくとも気分は悪い。
しかし、・・・それでも、それだけでは済ませたくなかった。
「兄さんも、考えがあってのことよ。」
言葉が上滑りを起している自覚はあった。そもそもどこに自信を持てば良いのか、自分でもわかってはいない。
だが、普段は何事も卒なくこなす兄のあの空気を読まない振る舞いは、何か計算があったとでも思わないとこちらも辛かった。本音はどちらかといわなくてもこちらにある。
ただ、それはセラにしても大して変わらないはずだった。何よりも大事にしていた姉と、唯一認めたと言っていた兄。その二人が妙な振る舞いをするなら、なにか考えがあるはずだ、と。それくらいは思ってもよさそうなものである。
が、反応はひたすら悪かった。力を緩めた隙に腕は振り払われる。
「黙れ。お前に何がわかる。」
「兄さんとの付き合いは私の方が長いわ。考え無しにあんな事する兄さんじゃない。」
そう言い切ってみる。が、それはどうにも自分に言っているようだった。・・・心情的には、どうしてもセラに近いのだろうなあと、心の中でもう一人の自分がため息をつく。
しかし、それはそれ、これはこれだ。兄が嫌われているのを見ていると辛いのもまた事実。
「お願い、兄さんと仲直りしてよ。セラが唯一認めた人なんでしょう、兄さんは。」
ずっとそっぽを向いていたセラが、こちらを振り向いた。
「お前はあれが許せるのか。」
その目はこちらを厳しく見据える。声は、ルシェまで切り捨てに掛かっていた。
「許す許さないじゃない。
セラがお義姉さんを信じてるように、私は兄さんを信じてる。」
目を合わせたままで、一言ずつ。反応のない瞳を見ていると、どうにも自分に言い聞かせているような気になってくる。
「とにかく。次の目的地は猫屋敷よ。それまでに整理つけてね。私の下僕やるよりマシだと思うわよ。」
きつい視線にさらされるのもいい加減限界だ。言うだけ言って息をつく。目線を下に落とすと、追い討ちが掛かった。
「・・・お前はそれで良いのか。」
淡々としているのに、何か見透かされているような気がした。
「いいの。」
本当は、全然よくはない。それでも言葉を続ける。
「あっちにはあっちの事情があるんでしょ。だから、今は放っておく事にしたの。」
自分に言い聞かせるようにして、顔を上げた。
「兄さんが決めた事だし、いつかは話してくれるわよ。」
ぴしっと目を合わせ、きっぱりと言い切る。それと同時に迷いも消えた。自己暗示というものかもしれないが。
「私はそう信じてる。」
部屋の中が静まり返る。音の余韻も消え、町の音が妙に騒がしく聞こえてくる。
ため息が落ちたのは、それからさらに経ってからだった。
「・・・わかった。聞いてやる。」
「ありがとう、セラ!」
歓喜。一瞬のその後に、へろりと力が抜けそうになる。慌てて手をついて身を支えると、その様子を見ていたセラが、ふいと顔を背けた。
「・・・お前にこれ以上食い下がられるのが面倒なだけだ。」
「どんな理由でも嬉しい。兄さんと仲直りしてくれるなら、それでいいの。」
ほっとして頬が緩む。
「兄さんとぎすぎすしてるのを見るのって、やっぱりキツくてね。」
「お前は・・・本当にロイの事ばかりだな。」
ぶすっと、声が返ってきた。
「兄妹だもん。」
ほうっと息をつき、ベッドに身体を投げ出す。一気に力が抜けた。
「セラだって、お義姉さんが一番でしょ。同じよ、同じ。」
セラが、眉を顰め不服そうにこちらを睨みつける。・・・が、何も言わずに立ち上がり、目の前から居なくなった。ドアの音がしたわけではないので、部屋の中には居るのだろうが。
その隙に、行儀悪くブーツを足で脱ぎ捨てる。ベッドの上に本格的に転がると、さらに力が抜けた。眠い。やはりさっきまでは緊張していたのかもしれない。
ぼんやりとスライムよりも力の抜けた頭は、ついでに忘れていた事を一つふわりと思い出した。
「あーそうだ、セラ。」
答えはない。が、意識がこちらを向いたのはわかった。
「お願いとは別なんだけど、お祝いの言葉はないの?」
「寝言は寝て言え。」
冷たい言葉に口を尖らせる。
「今寝てるじゃない。
ねーねーセラぁ。ほめてー。闘技場のチャンピオンになったんだよ。いっぱい頑張ったんだよー?」
間延びした声でせがんでみる。
「ねえってばー。」
しつこく。無論、期待なんぞしていない。精精相手にされないか、部屋を出て行かれるくらいが関の山だろう、というのが予想だった。伊達に付き合いは長くない。
案の定、立ち上がる音がする。ついで足音。寝返りを打ってそちらを向くと、仏頂面が見えた瞬間、ばふ、とした衝撃が身体を襲った。
「!?」
目の前が白く、ついで黒くなる。布団を頭から掛けられた・・・というよりぶつけられた、らしい。
「寝るなら黙っておけ。・・・ったく、付き合ってられん。」
視界の利かない中、足音はそのまま部屋の外に向かう。
ドアが開く音がした。これは出て行くな、と布団の中で肩をすくめる。
「・・・何も言わなければ、褒めてやってもよかったのだがな。」
ぼそ、と声がした。
「え。」
思考が止まる。予想外の言葉を反芻する前に、ドアが閉まる音が響き、・・・そして、足音は去っていった。
目を一度閉じて、また開けてみる。良くはわからないが、完全に目は覚めた。もぞもぞと布団をどかし、起き上がる。扉の前には誰も居ない。部屋の中には自分だけだ。
・・・セラ、今、何て言った?
思考はあれで止まったが、言葉自体はちゃんと覚えていた。
一回、二回と繰り返してみて、ようやく意味がつかめる。じわりと嬉しい。頬が緩む。
「ありがと、セラ。」
扉に向かってそう呼びかける。
胸の奥底から湧き上がる気持ちに身を任せると、小さな笑いが零れた。
嬉しい気分と枕を抱いて、ぱたんとベッドに転がる。
枕をぎゅっと抱きしめて笑っている自分は、今この瞬間とてもおかしな人だった。しかし、それも全く気にならない。
幸せというのは、きっとこういうことなのだ。
・・・とか言うのが最後頭よぎってた。
なんだかんだで、師匠兼保護者のセラに褒めてもらえると嬉しい、という話。
それなら素直に褒められる事すりゃいいのに、そうは行かないあたりがうちの娘です。だってからかって遊ぶの楽しいんだもーんとか言ってそう。正直ウザい部類じゃないかとは思うけど、これくらい強い方が書いてて楽しい(笑)
どシリアス方面いったのでどうなる事かと思ったけど。なんとかなってよかったよかった。
ロイとセラが喧嘩した理由はもう一個考えていて、「お兄ちゃんにプリン食べられたくらいで、なんでそこまで拗ねられるわけ!?」というのがありました。シュールすぎたので止めときました。でも、私としてはこっちがリアリティあるなあと思ってたりします。