「ふわぁああああ。」
ホテルの窓を開けて、プリシスは気持ちのいい空気を思い切り吸い込む。
「これってお出かけ日和って奴だよね。」
傍らの無人君に話し掛けると、無人君は一つ跳ねて肯定した・・・ようだった。
ここはファンシティ。戦いの合間の息抜きをかねて、一行ははしばらくここに滞在する予定、だった。
「あ、プリシスー。」
ロビーで待ち合わせていたアシュトンがこちらに気付いて手を振る。
「ゴメンゴメン、おまたせー。」
無人君を抱えあげてアシュトンに駆け寄ると、アシュトンは思い切り嬉しそうな笑顔を見せた。
「大丈夫、僕も今きたとこだから。」
そんな笑顔でそんな台詞を言われると、別に好きとかそういうわけではなくたってときめいてしまう。プリシスは、あわてて頭を振って、顔に昇りかけた赤いのを吹き飛ばした。
「そう?んじゃ、いこっ。」
アシュトンを半分くらい置いてけぼりにして先に駆け出す。アシュトンは慌てたようにして追いかけてきた。
今日はファンシティを見て回ろう、ということになっていた。手始めに色々まわったり、買物したり。なぜアシュトンと一緒にまわることになったかといえば、一応はプリシスが誘ったのには違いないのだが・・・・たまたまあぶれた者同士という奴である、多分。
「まずはどこにいきたい?」
追いついて隣に並んで、アシュトンが機嫌よく聞いてくる。
「んー・・・。やっぱお買物?あっちのお店がなんか楽しそうだったんだよね。」
「じゃあ、そっちから行こうか。」
他愛のない話をしながら、2人は連れ立ってお土産屋に入った。
「わぁ・・・」
「へえ、いろいろあるなあ。」
やたらにスケールの大きな店は、入って品物を見ているだけでも楽しい。
「ね、コレとかカワイイと思わない?」
「どれどれ?・・・ん、プリシスに似合いそうだね。」
「えへへっ・・・。」
小物や雑貨、服なども見て回る。目新しいものばかりの店内で、他愛ないおしゃべりをしながらしばし。・・・気がつくとアシュトンの姿が隣から消えていた。
「あれ?アシュトン?」
あたりをくるりと見回す。と、あの特徴のありすぎる外見が目に入った。店の反対側、樽をじーっと熱心に見つめているアシュトンの姿が。
「・・・・・・・・そういえば、樽好きだったっけ・・・」
それにしたって、隣にこーんなに可愛い女の子がいるというのに、樽のほうにしか目が行かないとは。別に、アシュトンのことが好きとかそう言うのではないのだが、女の子として、なんだか不愉快である。
「アーシュートン!」
後ろからマントをひっぱると、アシュトンは飛び上がるようにしてこちらを振り向いた。
「わあああっ!?・・・あ、プリシスっ・・・」
「そろそろいこ!」
文句も意見も聞かず、思いっきりひっぱる。体格に違いがありすぎるので、ずるずると引っ張るとまでは行かないのだが。
「わ、わかった、わかったから引っ張らないで!首がしまっちゃうよー!!」
「ギャフッ、ギャフフッ。」
もうそれくらいにしとけ、というようにギョロにつつかれて、プリシスはとりあえずマントを離した。アシュトンはけほけほと咳をして息を整える。
「ったたたた・・・もう、プリシスってば酷いじゃないかぁ。」
抗議なんて聞く耳もたず、プリシスはふいっとむくれて店を後にした。
その後は、2人で闘技場を眺めたりバーニィレースを冷やかしたり、適当にファンシティ内を散歩してまわった。それはそれでプリシスとしても楽しかった。
楽しかったのだが。
店が見える場所を通りがかるたびに、店のほうに・・・というか、入り口からちょびっとだけ見えている樽にアシュトンの視線が行く。その視線は、見事なまでに恋する瞳。少しうっとりとしていて、なんだか非常に腹立たしい。
・・・・別に!別に、どーってことないんだけど!
ただ、あたしが隣に居るっていうのに、どーしてアシュトンってば樽にみとれちゃうワケーー!?
そのたびに、自分の機嫌が急降下するのがわかる。もやもやと、非常に嫌な感じ。
結局、店の前を通ってホテルに戻ったおかげで、プリシスの機嫌はすこぶる悪くなっていた。
「プリシス?どうしたんだい?さっきから・・・・その、機嫌、悪い?」
ホテルのロビーに戻ってきたところで、アシュトンが不安そうに聞いてきた。
「・・・・べっつにー。」
ぷーっとむくれて、否定してみせる。
「う、うぅ・・・。ねえ、本当にどうしたんだい?僕、何かやった?」
心当たりはないのに、どうして怒ってるのだろう・・・と、アシュトンは弱りきった様子だった。・・・が、そんな顔を見ても、機嫌が良くなるわけではない。
・・・自分の胸に聞いてみればいいんだっ!
「別に。じゃあね、今日はありがとっ!」
「あ、まって、プリ」
アシュトンが言いかけたことも、返事も何も聞かずに、プリシスは部屋に駆け戻ったのだった。
「あーもうっ!」
ベッドに転がって、無人君を抱え上げる。
「ねぇ、無人君。・・・・」
無人君は、手足をじたばたさせて、プリシスの腕から逃げ出しに掛かった。無人君が一箇所に居るのを嫌がるのは、いつもの事だ。抱えあげた無人君をベッドの上に放してやる。無人君は、部屋の中を散歩するようにぽてぽてと歩いていった。
「・・・・・あーあ・・・。これじゃ、無人君にまで嫌われちゃったみたいじゃん。」
むーっと天井を睨む。
なんで、こんなに嫌な気分なのか。・・・樽のほうを眺めていたときのアシュトンが、あんまり幸せそうで、あんまりうっとりしていたからだ。
とはいえ、アシュトンがプリシスの何かといえば、仲間である、以外の答えは今のところない。ということは、別にアシュトンが何に見惚れようがプリシスの知ったことではない・・・はずである。
・・・でも、でもさ、樽だよ樽!あたしは何、樽以下ってワケ!?
たとえ「仲間」でも。樽より軽視されたくはない。それがきっと嫌な気分の原因に違いない。・・・もう一つ浮かびかけた別の可能性には、プリシスのプライドにかけて、目をつぶった。
ぶんむくれて寝返りをうったところで、弱弱しく扉が叩かれる音がした。
「はーい。」
扉を開けると、なんとなく予想はついていたのだが・・・アシュトンが立っていた。
「どしたの?」
「いや、えと・・・その、プリシスが・・・その、気になって・・・」
さっきから、機嫌悪いみたいだったし、その、僕が悪いのなら、謝るから・・・とかなんとか。ごにょごにょ言っていて最後のほうは良く判らない。そこがまた気に障る。
「別に、あたしはなーんもないよ。用事それだけ?」
つっけんどんに言って、見上げると、アシュトンはますます萎縮した。
「その、ええと、・・・」
「なんなのさ?」
アシュトンは、ふるふるっと頭を振る。
「明日も、一緒に、町に行かない?その・・・プリシスが良かったら。」
顔が赤くて、・・・とっても一生懸命言ったということだけはわかった。目つきも真剣だ。
「え・・・あ・・・えっと・・・」
つられてこっちまで赤くなる。
「・・・・・・うん。」
つい、頷いてしまった。視線の力に圧倒されるというのはきっとこういうことだろう。アシュトンは、ふわんと嬉しそうな顔で笑った。
「よかった。それじゃ、また明日、よろしくね。今日と同じように、ロビーに居るから。」
「・・・うん。」
アシュトンは上機嫌で・・・ギョロとウルルンに突付かれながらも足取り軽く・・・行ってしまった。ぼんやりとそれを見送って、扉を閉める。
扉を閉めて、しばし。はたと我に帰った。
・・・な、なんで!なんでー!?
確かついさっきまであったはずのもやもやした気分は、どこぞに吹っ飛んでいる。あるのは、妙に浮かれた気分。正直言って、自分に自分でついていけない。
気分を落ち着かせるべく、プリシスは無人君を捕まえる。
「メンテしよ、無人くん。もちろんつきあうよね。」
無人くんをメンテナンスモードに移行させて、ドライバを握る。
かちゃかちゃと無人くんの内部をいじっているうちに、精神状態は落ち着いた。鼻歌交じりで、いつも以上に丁寧にメンテを終えると、もうそろそろ夕食の時間だ。
・・・明日、楽しみだな。
プリシスはなんということもなく、そう思ったのだった。
しかし、翌日。
クッキングマスターに行ったり、占いをしてみたり、なんだかバザーみたいなとこを冷やかしたり、約束どおり2人で町をまわっていたのだが。
「ね、アシュ・・・」
声を掛けようとして、相手の上の空に気付く。
アシュトンの視線の先は、あの、店だった。樽のあった。もやっとした気分がまたしても持ち上がる。
「アシュトン!」
「わっ・・・あ、何?」
驚いたようにこちらを振り返る。驚いてはいても別に慌てているわけではない辺りがさらに腹立たしい。
「・・・あの店、気になるんだったら行こっか?」
「え、いいの?」
言葉のトゲなんかには全く気付いていないらしい。アシュトンの表情が思い切り明るくなる。プリシスの機嫌はそれに比例するように下がっていく・・・が、アシュトンは気付かない。
「ありがと、プリシス。行こう。」
そう言って、スキップでもしそうな足取りで店に向う。後姿を見ながら、プリシスは、もやっとした気持ちをため息と一緒に吐き出すしかなかったのだった。
結局、不機嫌とお友達になって部屋に戻る。さっさと切り上げて帰ってきたため、日はまだまだ高かった。部屋の中で動いているのは、無人君が、ぽてぽてと散歩しているくらいである。
案の定というか読めていた事ながら、アシュトンは幸せそうに樽のほうにいってしまったわけで、もやもやした気分はさらに上がってしまったわけで、しかもアシュトンは例によってそれに気付かない。
・・・・今度誘いにきたって、ぜーーーったい断るんだかんね!
決意とともに荷物の中からマテリアルキットを引っ張り出す。イライラを吹き飛ばすには、無心で機械いじりをしている方が楽だという事を、プリシスは経験で知っていた。ハンマーの音、ドリルの音、モーターの音、ドライバーをがちがちさせる音。聞きなれた音が耳に優しくて、なんとなく落ち着くのだ。ある意味条件反射といえなくもない。・・・・そして、何より、この状態だと他の音なんて耳に入ってこない。だから、なにやら気弱にドアをノックされる音を聞いた気がしないでもないが、そんなことは知ったことではない。
マテリアルキットには、多種多様な材料が詰まっていた。金属はもちろん、絶縁体に使うゴムだとか、布だとか木だとか。組み合わせ、自分なりのセンスで機能を開発していく。ある程度コツをつかめれば、難だって出来てしまうものなのだ。プリシスの場合は、自分の武器までこれで作ってしまったりもする。
そして、機械弄りはプリシスの最も得意とすることであり、最大の趣味でもあった。昼食も忘れて没頭するくらいはよくあることである。
・・・というわけで、手元の暗さにふと気がついて顔をあげると、部屋の中はすっかりオレンジ色になっていた。
「んー・・・今日はこれくらいにしとくかなあ。」
ふうっと息をついて、部屋中に並んだ本日の成果物を眺める。
アイアンパンチが3つ。はんだごて、ミュージックツールに玉手箱。プラズマびりびり棒にRIRICAと各種爆弾が5,6個ほど・・・・と、なぜか、・・・・樽。
・・・なんでこんなん作ったのかな。アシュトンじゃあるまいし。
きっと喜ぶのは、樽が大好きな件の彼くらいのものである。
そこまで思い至ったあたりで、また、昨日今日のもやもやイライラした気持ちがこみ上げてきた。
・・・なんで樽なのかな。・・・なんで、私と一緒でも樽優先なのかな。
ライバルが人外って、酷すぎじゃん。
そこまで思考が行って、はた、と我に帰った。
・・・あたしは何を何のライバルだと思ったんだろ?
それは、片方はプリシスのプライドに賭けて、もう片方は人間としてのプライドに賭けて、何が何でも知らなかったことにしたい気持ちだった。
「あーもうっ!!」
八つ当たり気味に樽を蹴っ飛ばす。樽はぽーんと飛んだあと、バウンドしながらアイアンパンチの辺りまで転がっていった。
それを見て、ふと、思いつく。
材料は、マテリアルキットのあまりと、アイアンパンチ、・・・と樽。ちゃちゃっといじると、樽の形のびっくりばこの出来上がりである。
・・・少しくらい反省すればいいんだ!
「ちょっと留守番しててね、無人君。」
乙女の心を傷つけた罪は重い。少々破壊力はあるが、これくらいなら許されるような気がしていた。
びっくりばこを抱えて、男部屋に行く。
ノックをすると、ぱたぱたと音がして扉が開いた。
「プリシス。」
出てきたのは、予想どおりアシュトンだった。ちらっとのぞいてみた中のほうには、他のメンバーは居ないらしい。プリシスの居る女部屋だってさきほどまでプリシス一人だったのだから、このあたりはまあ予想の範囲内だった。
「どうしたの?」
驚きと・・・少し慌てた顔で出迎えるアシュトンに、樽を押し付ける。
「・・・これ。あげる。」
「これ・・・って、樽!?・・・いいの!?」
驚きから、素直に喜びに変わる表情を見て、ちくっと・・・少しだけ良心がいたんだ。
・・・が、それはそれでこれはこれ。ふるふるっと頭を振って、そんな考えを振り飛ばす。
「うん、あげるってば。」
「本当!?ありがとうプリシスー!大事にするよ!」
「じゃね。」
色々揺らぐ前にさっさと踵を返す。と、後ろから声が掛かった。
「あ、まってプリシス!」
「何?」
振り返ると、片手に樽、もう片手をポケットに入れたアシュトンが、顔を赤くして立っていた。・・・夕暮れ時だからそう見えるだけかもしれないのだが、それでも、・・・一生懸命なのはなんとなく判る。うっかりときめいてしまう、あの表情。一つ決心したように目を伏せて、アシュトンはポケットから小さな包みを取り出した。
「その・・ええっと・・・これ!・・・その、お店でプリシスが可愛いって言ってた奴なんだけど・・・
・・・・う、受け取ってくれるかい?」
「え、え・・・!?」
今度は、こちらが驚いて慌てる番だった。
「その、昨日からずっと気になってて・・・似合うかなって思って・・・その・・・買って来ちゃったんだけど・・・。」
「昨日から・・・って、・・・・」
ずっと気にしていたのは、てっきり樽かと思ってたのに。
プリシスがそう言うと、アシュトンは、驚いた顔で首を振った。・・・気付いていなかった、と言う。
その事実に驚いている間に、包みが目の前に差し出された。
それを受け取って、・・・それから、ちょっと逸らされたアシュトンの顔を見上げる。
「その、い・・・いいの・・・!?」
「うん。」
返事は少し固い。それでもそれは、しっかりとした肯定だった。自然、声も弾む。
「あ・・・ありがと!嬉しい・・・あけていい?」
「うん。」
嬉しそうに頷くアシュトンに笑いかけて、包みを開く。中のアクセサリーを視認するかしないかくらいで、上から声が降ってきた。
「あ、・・・樽も、中身が入ってるんだよね。あけるよ?」
同時に、ごそごそと樽のふたを開けようとする音も聞こえてくる。プリシスは慌てて顔をあげた。今まさにふたが開こうとしている樽を見て、とりあえずプリシスに思いついたのは、一つだけ。
「だめーー!!」
樽を跳ね飛ばすように、アシュトンに飛びつく。
「うわあああ!?」
ものの見事にバランスを崩して、アシュトンは後方に倒れた。樽は中身のアイアンパンチを飛び出させつつ、脇のほうに転がっていく。
「ごめん、アシュトン!大丈夫!?」
自分の体の下に居るアシュトンに声を掛ける。
「・・・ったたた・・・・。うん、大丈夫。どうしたんだい、一体・・・。」
「その。あの・・・」
部屋を出るときまで、自分を支配していた気持ちが・・・正直かなり恥ずかしかった。気になってたのは樽でなかったと。さっき、アシュトンは言っていた。嘘がつけるような器用な人ではないから。多分本当なんだろう。
「・・・・・あれ。びっくり箱だったんだ。」
だから、・・・反省の意味もこめて正直に言った。
「ええっ!?」
「・・・アイアンパンチ入りの・・・」
中身の破壊力もそれなりにあった事を知って、さすがにアシュトンが青ざめる。
「あんまり、樽ばっかり気にしてるように見えたからさ・・・ちょっと仕返ししようって・・・思って・・・
ごめんね。勘違いだったんだよね。・・・・ごめんなさい。」
顔に血が上る。恥ずかしすぎて消えたいくらいだった。
自分の手元に目を落としていると、頭の方に、なんか気持ちのいい手の感触がした。下を見れば、アシュトンが、小さく笑いながらプリシスの頭を撫でているところだった。
「・・・ん、いいよ。助けてくれてありがとう。」
この期に及んで、その台詞と表情は反則だった。
「・・・ごめんね。」
言って、きゅうっとしがみつく。
「いいって。僕も無事だったし、プリシスも無事だったんだから。・・・ね?」
ぽんぽん、と背中を叩かれる。どうしようもない安心感に、なんだか泣きたくなってくる。
「ごめん・・・ありがとう。」
ぐっとこらえて、胸にうずめていた顔をあげた。
・・・・と。至近距離のアシュトンと思い切り目があった。
近い。とっても。しかも、今の位置関係は。プリシスの下にアシュトンが仰向けに転がっていて、つまりこれは。
どうやら、同じ思考にたどり着いたのは相手も同じだったらしい。そのまま、お互いに固まる。そして、次の瞬間2人はその場を飛び離れていたのだった。
「そ、そそそその、ごめんっ!」
「あ、あああの、その・・・えっと・・・!」
顔が熱い。鼓動が激しすぎて相手に聞こえそうだ。無論相手のほうを見るのも辛い。
「わ、あ、あたしもう戻るね!えと、アクセサリーどうもありがと!じゃあね!」
「あ、うん、それじゃあ!」
極力アシュトンを見ないようにして、プリシスは小さな包みを握り締めると、逃げるように部屋から出て行ったのだった。
部屋に戻ると、ぽてぽてと歩いていた無人君に出迎えられる。部屋はマシーナリーの後がまだ残っていて、ちょっと散らかっていた。ありがたいことに、まだ他のメンバーは戻ってきていない。
そーっと包みからアクセサリーを取り出すと、果たして。初日にかわいいな、と言っていたものだった。あの樽のそばにあったアクセサリーは、ちょっときらきらしたネックレス。あんな些細な事も覚えてたんだ、と思うと、なんだか嬉しくなる。
首にさらっとかけて、鏡を覗き込む。・・・なんだか、妙に機嫌のいい・・・幸せそうな自分が鏡に映っていた。
・・・だめだめ。こんなにニヤけてたらヘンな人じゃん。
大体、アクセサリー一つでこうなるなんて。あたしはそんなに安くないんだけどな。
それでも、幸せ気分はなかなか消えない。
なんとか、他のメンバーが来る前に気分を元に戻さないと。そう考えて、片付けを始める。
ほんわりとして、弾むようなあったかいような、そんな気持ち。
片付けの真っ最中でも消えないその気持ちを、プリシスは・・・もうそろそろ認めてもいいかもしれないと思い始めていた。
特定の人を想う時の、ほんわりとして、弾むようなあったかいような、幸せ気分。
・・・・・・・人はそれを、恋と呼ぶ。
いっそ清清しいまでにアシュプリ。SO2で一番好きな組み合わせ・・・です、多分。何故好きかといわれても実はちょっと返答に困るのですが。ただ、書いてて楽しかった(笑)恋をしたときの、あの特有のふわふわした気持ちとか、他のところ見てると寂しくなる気持ちとか、16歳ならでは!て感じで。アシュトンはちょっとボケてて、おおらかで。かわいい二人だなあと思ってます。