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意外な一面

「終わったわね・・・。」
イリアが荒く息をつく。敵が集中したのか、全身かすり傷だらけだった。
「大丈夫か?」
フィアがそちらに駆け寄り、傷の程度を確認する。
「軽くなんか食っとけ。見るからに消耗してんぞ。な、ラティ。」
「そうですね。ちょっと待ってください。」
シウスに言われ、ラティがアイテム袋をがさごそやると、中から携帯食料が顔を出した。
「とりあえずこのあたりで。はい、これ。」
差し出された食物を、イリアが頬張る。その表情に光がさした。
「ありがと。あら、松茸ね。・・・・・うん。さすがね。シウスの料理っていつ食べても美味しいわ。」
その言葉に、フィアが怪訝そうな顔でシウスの方を振り返る。
「・・・・・・・・・・・お前、料理できたのか・・・・・?」
「あ・・・ああ、まあ・・・最近覚えたんだ。」
フィアの顔には想像がつかないだのありえないだのとありありと描いてあった。ラティが笑顔で補足する。
「シウスは凄いんですよ。今なら飾り切りも刺身も煮付けから醸造にサラダまで何でもできるし、この間は本まで書いてたん」
「うわまて、それは黙っとけ!」
シウスが慌てて制止する。フィアの表情がさらに引きつった。
「本まで!?おまえ、あの、あ・・・」
「いいから気に」
「あの戦闘と酒しか興味なかったお前が料理の本!?あのアストラル最強の・・・あ・・・すまない。」
途中まで言いかけて、急に止まる。フィアとシウスの微妙な空気は、シウスがもういいと手を振るまで続いた。
「ごめん、失言だった。
 ・・・・・・が、何でいきなりそこまで料理にのめりこんだんだ?
 私は今まで生きてきて、お前が料理をするなんて訓練の野営以外じゃ見たことも聞いたこともなかったぞ。」
「・・・・・・・・こいつらが壊滅的に料理できねぇから仕方なくだ仕方なく。」
「そう、なのか・・・?」
イリアとラティが、曖昧な笑みを浮かべる。
「包丁とかは使えるんだけどね。材料とかよくわからなくって・・・」
「俺も、今ひとつ味がよくわからなくって・・・あははは・・・」
フィアが視線をシウスに戻すと、シウスは深々とため息をついて見せた。
「苦労してたんだな、一応・・・」
くすくすと笑うフィアに、シウスも少し穏やかな顔になる。
「ああ。・・・ま、料理も悪くはないぜ。ちょちょいっと酒のつまみも作れるしな。」
「結局そうなるわけか。ふ、お前らしい。お前の書いたその料理の本とやらも見てみたいもんだ。」
ほんのことを持ち出すと、シウスの表情がゆがんだ。
「断固断る。そのうちサザエでも焼いてやるからそれで勘弁してくれ。」
「ほう。私はサザエにはうるさいぞ?」
その言葉にシウスが噴出した。
「判ってるさ。俺を誰だと思ってるんだ。」
「それもそうだな。」
フィアもそう言って笑ったのだった。


超短いけど、アストラル洞窟にて、私のプレイ状況より実話。だってうちのパーティには味覚もってんのがシウスしかいなかったんだ・・・!(苦笑)
うっかり攻撃力のために包丁スキルあげまくり、うっかり執筆させてうっかり「料理はこころ」とか書いちゃって、私の知ってるシウスじゃねええ!!!と爆笑したのでした。いや、誰だってやりますよね!?
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