Falcom TOP

お誘い

「・・・ね、あなた。」
隣に横になっていたレナがふと、口を開いた。
「なんだい、レナさん。」
天井を見上げたまま返事をする。
「・・・エステルは、弟か妹か欲しがっていたみたいだけど。」
今日の昼の事、だ。
「そう言っていたねえ。」
相槌を打つと、隣でレナがころりとこちらを向いた。
「・・・どうかしら、と思って。」
一瞬聞き間違えたのかと思った。
話の流れでそう言うことにはなったが、・・・エステルへの懐柔策だと、思っていたからだ。
「な、・・・・そ、れってつまり・・・」
妻の方をむいたはいいものの、いきなりの申し出に言葉がうまく出てこない。普段は誘っても半分は断られるのだ。そんなカシウスにレナはにっこりと微笑んだ。
「にぎやかになっても、いい頃合じゃないかしら。エステルもきっと喜ぶわ。」
・・・微笑みと言葉は、ちょっとだけ期待はずれ。なんとなくため息が漏れる。
「はぁ・・・レナ。君は本当にエステルには甘いんだな。」
「お母さんですもの。・・・あなたは反対なの、お父さん?」
何をいまさら、という表情のレナにわざと気難しい顔で答えを返す。
「そう言うことなら、反対します。」
言うと、レナは残念そうに瞳を伏せた。
「・・・そう。なぜ?」
「エステルのため、なんだろう?」
そっぽを向いたその言葉は、我ながら少しむくれていた。
くすくすと小さく笑い声がして、背中に暖かいものが触れる。
「・・・・・・・もう。・・・カシウスさん、少しは察して。」
背中、自分の中から聞こえてくるような声。
「・・・・それは、俺のためなんだと自惚れてもいいのかな。」
レナに背を向けたままそう聞くと、きゅ、と体が押し付けられた。
「私のためでもあるの。」
それは、望んでいた答えだった。
「なら、了解だ。」
ゆっくりとレナの方に向き直る。愛しい笑顔を確認して、カシウスはその腕の中に彼女を抱きしめた。



軌跡・・・SCかな、「ただし、常識の範囲内で」の後、夜の夫婦の会話をちまっと妄想。 超短いです。おまけに微妙にアダルトです。元々日記にネタ半分で書いてたから。パパ&ママも面白いよなあ、とSC4章夢の中で思いました。ママ最強で、パパがべた惚れで常に負けてるあたりが好き(笑)
Falcom TOP