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オリビエ・レンハイム氏の華麗なる一日

コレは、(自称)漂泊の詩人にして不世出の天才演奏家、愛と平和の使者にして只今恋人募集中のオリビエ・レンハイム氏の、リベール国・ロレントにおける生活ぶりを余すところなく記録したものです。


午前6時前。
オリビエさんの朝は早いです。心なしかやつれた表情でふらりとベッドの上に起き上がり、パジャマのままでふらふらと・・・

腹筋・背筋・腕立て伏せ。

・・・幽霊のような面持ちでやるので気配がありませんが、彼はあの華麗で少々ぶっ飛んだ行動の割に努力家な一面も持ち合わせているようです。


午前7時ごろ。
少しだけ汗ばんだ身体を、ゾンビのように引きずってシャワー室へ入っていきます。
10分後、シャワー室の中から機嫌のよさそうな歌声が聞こえてきました。どうやら目が覚めたらしいです。
・・・ということは、先ほどの筋トレは寝ぼけながらやっていたのでしょうか・・・。


午前7時半過ぎ。
男性にしては長いですが・・・30分のシャワーの後、ようやく出てきました。髪を丁寧に拭いて乾かし、いつもの服に着替えます。
そして、鏡の前で・・・なにやら笑っているようです。微笑みの練習でもしているのでしょうか。傍目にはとても不気味です。
髪に丁寧に櫛を入れ、ふゎさっ・・・・っと掻きあげると、彼の半径一メートルほどに光がこぼれました。彼はその様子をじーっと観察していましたが・・・
どうやら満足したようです。上機嫌で鼻歌を歌っています。相変わらず琥珀の愛。


午前8時半過ぎ。
部屋に朝食と新聞が運ばれてきました。
運んできたお姉さんをナンパしたようですが、例によって振られたようです。
「全く照れ屋さんなんだからv」
全然応えてないところが彼らしいですが。

運ばれてきた朝食を幸せそうに食べているオリビエさん。
コーヒーとパン、レンズマメのスープにサラダ、玉子焼き。
「ふむ・・・やはり、ここの野菜料理はすばらしいな・・・」
なにやらぶつぶつ言っていますが、とてもご満悦のようです。
追加注文で2人前ほど食べてしまうと、コーヒーを飲みつつ備え付けのリベール通信を読み始めました。
珍しく真剣そうな顔とあいまって絵になる光景なのですが・・・・。
「ふむ、エルモ村の温泉か・・・ボクの美容のためにもいつか入ってみたいものだ。」
どうやら観光案内を見ていたようです。真面目に仕事する気あるのでしょうか・・・。


午前9時半ごろ。
ホテルのフロントに声を掛け、メイドのお姉さんをナンパし、たっぷり世間話を堪能した後、町へ繰り出します。
行き先はギルド。
ギルドに付くと、早速受け付けのアイナさんに声を掛けています。
「アイナ君、どうだい、これから一つ?」
「何寝ぼけたこといってるの。」
どうやらあえなく玉砕したようです。ちょっと寂しそうに掲示板の方で拗ねています。
「で?用件は何かしら?依頼?」
「いや、この近辺の地図が欲しくてね。折角だし色々と回ってみたいものだから。」
「はいはい、ちょっと待ってて。」
オリビエさん、渡された観光用の地図を手にちょっぴり満足げです。
「魔獣が出ることもあるけれど、護衛は必要?依頼という形になるけれど。」
「美人さんに限り必要かも♪」
「いらない、と。」
アイナさんのあしらいも慣れたものです。
「むぅ・・・アイナ君、冷たいよ。」
「そうかしら?」
「・・・・ぐすぐす。ところで、シェラ君は?」
「シェラザードならとっくに出かけたわ。」
「そうか・・・。今日は、デートとしゃれこもうと思ったのに。」
「・・・そこの掲示板見てみなさい・・・こんな忙しいのにそんな暇あるわけないでしょう。
 ・・・一度顔洗ってきたほうがいいかもしれないわね。」
オリビエさんは、掲示板をじーっと見つめると一言。
「シェラ君は・・・ボクよりも仕事の方が大切なんだ・・・・。」
アイナさんは、深々とため息をつくとお仕事に戻ってしまいました。


午前10時半ごろ。
ギルドから出てきたオリビエさん、今度は郊外のほうへ出て行きます。
「こっち側にはグリューネ門があるのか・・・ふむふむ。
 そして、ミストヴァルド・・・何、魔獣注意?という事は、人気はなさそうだな・・・。
 ああ、こちらの方にはエステル君たちの家もあるのだね・・・ふっふっふっふ。」
どうやら、ロレントの南側を探索する気のようです。
しかし、独り言が多すぎて完全に怪しい人です。


正午。
グリューネ門に到達したオリビエさん。
今日のお昼ご飯はそちらで取る様子。
「しかし、寂れてるねぇ・・・。」
「そりゃ、ロレントまでわざわざ歩きで行くような人は珍しいですから。」
ここでもメイドさんと世間話に興じています。
「しかし、料理はなかなか美味だ。さすがだね。」
「そうですか?ありがとうございます。」
「いや、こちらとしても美味しい料理が食べられて幸せだよ。
 どれ、お礼に一曲・・・。」
どこからともなく取り出したリュートでポロポロと音を奏で始めます。
「まぁ、素敵ですね。」
メイドさんも喜んでいるようです。
本日初のナンパ成功でした。


午後1時ごろ。
オリビエさんはなぜかミストヴァルドに。
「ふむ・・・なかなか手ごたえがあるな。」
魔獣相手にぶつぶつ言っています。真剣な表情から察するに、どうやら鍛錬も兼ねている様子。
「しかし、さすがに人気がないな。美人のお姉さんが出迎えてくれたら嬉しいのに。」
なにやら言っていますが、・・・奥まで到達すると、おもむろに通信機を取り出しました。
「はろーぅ♪元気かい?」
通信機の向こう側となにやら・・・
「今日はレンズマメのスープと昼ご飯のサラダサンドが美味しかったよ♪
 ボクやっぱりこっちに永住したいな〜v」
アーティファクトの使い道を明らかに間違っているようです。
『この忙しい時に何いっとるかあああああ!!!』
通信機の向こう側からは、怒りの怒鳴り声が聞こえてきます。相手さんもかなりの苦労人です。
そのまま、2,3ほど喋ると通信終了。
「全く・・・あんなにカリカリして生活してて楽しいのかなあ。」
カリカリさせてる張本人が言ってもありがたみはありませんが。


午後4時ごろ。
ミストヴァルドを出てきたオリビエさん、今度はブライト家の前に立っています。
「ここが・・・。ふーむ、なかなかいいところだねえ。」
なにやら感慨深いものがあるようですが、この家の住人は今全員留守。
オリビエさん、ぱっと見にはかなり怪しいという自覚あるのでしょうか・・・。


午後5時頃。
「やぁエリッサ、今日も綺麗だね」
オリビエさん、居酒屋アーベントで・・・エリッサをナンパしています。
「あら、オリビエさん。ご注文はなんになさいます?」
しかし、忙しい忙しいと飛び回るエリッサには半分も通じていない様子。
仕方がないのか、こんどはバーテンのお兄さんをおちょくって遊んでいます。

やがて料理が運ばれてくると、彼は幸せそうな顔で食べ始めました。
今日の料理は、ロールキャベツとスープ、サラダ。
「このキャベツの甘みがなんともいえないねえ・・・♪」
軽くワインも飲みつつ、ゴキゲンなようです。
「おぅ、オリビエさん、今日もきてたのかい。」
奥のほうからマスターが顔を出しました。
「やぁ、マスター。相変わらずすばらしい腕前だね。」
「はっはっは、そりゃぁ照れるな。
 おっと。食事が終わったら、いつもの奴お願いできるかい?」
「あぁ、任せておきたまえ。」
キラキラと輝くと、オリビエさんはまた食事に取り掛かりました。
追加注文を重ねて、合計2.5人前は食べてしまいます。
そして。
「ご馳走様。」
そんな言葉と共に、どこからともなく取り出したリュートが奏でられます。
天才演奏家を名乗るだけあって、その音だけで、にぎわっていた酒場の客が聞きほれます。
「さぁ、今夜は何を奏でようか。
 姫君と騎士の物語、漂泊の旅人の物語・・・・。」
軽く調弦をしながら語る声はプロのもの。
美しい弾き語りの時間が始まるのです。


午後8時ごろ。
演奏も一段落した所で、オリビエさんは優雅にグラスを傾けています。
「うーん、今日も良い一日だった・・・。」
幸せそうに呟いている彼の目が、ふと居酒屋の入り口を向き・・・喜びに輝きました。
「やぁ、シェラ君っ♪」
「あら、オリビエ。」
シェラザードさんもお食事に来ていたのです。
「あぁ、一日の最後にボクに会いに来てくれたんだね♪」
「いいえ、食事しに来ただけよ。
 ・・・・あら?いいもの飲んでるじゃない。」
「あぁ、これはなかなか美味だよ。
 おーぃ、これ、後一本持ってきてくれたまえ。」
オリビエさんはにこやかに追加の注文を出します。
「ずいぶんと気前がいいのね。」
「フッ・・・君という宝石のためならば、いくらでも・・・さ。」
「それはありがたいわ。」
じっと見つめてもシェラさんには通じなかったようです。
肩透かしを食らってちょっとしょげ気味なオリビエさんに、追加のお酒が運ばれてきました。
「乾杯。」
お互いのグラスに注いで、軽く打ち合わせます。
「んー、仕事の後の一杯は格別だわ。」
「ふふふふ。喜んでいただけて嬉しいよ。」


しかし。
>>この後の悪夢は、オリビエさんの希望により省略させていただきます。<<


午後11時半ごろ。
「あの、もうそろそろ閉店なんですが・・・・。」
ウェイターさんが声を掛けにきました。
テーブルの上には酒瓶が6本。
「えー、もぅなのー?」
不服そうなシェラザードさん。
「そ、そうか・・・閉店か・・・。」
一方のオリビエさんは、テーブルに突っ伏して死に掛けています。
「・・・・・た・・・たすかった・・・。」
思わずこぼれた台詞は誰にも聴こえていない・・・ようです。
「ありがとう、ご馳走に・・・なったね。」
オリビエさんは最後の力を振り絞って代金を支払うと、シェラザードさんを半分引きずるようにして店を出て行きました。

「もうちょっと飲みたいわー。」
「いや・・・ボクの方はチェックインがあるから。
 ざ・・・ざんねんだけど、またの機会におねがいする・・・よ。」
「けちー。」

ギルド前でそういって別れた後、オリビエさんは単身ホテルに向かいました。


午前0時頃。
ホテルの一室から幽霊のようなうめき声がきこえてきます。
何かを吐く音。
そして、水音。
急速にアルコールを大量に取ったお陰で、かなり酷い目に逢っている様子。
「ぐぅぅ・・・うげ・・・・うぅ・・・」
浴室から出てきて寝巻きに着替え、根性で水差しの水を一気飲みすると、そのままベッドに倒れこみます。
しばらくの間うめき声が聞こえていましたが、やがてそれも収まって寝息に変わります。
「う・・・うぅ・・・ふふふふふ・・・・?」
何か夢でも見ているようですが・・・・
「うぅ・・・か、勘弁してくれたま・・・いえ、勘弁してくださいっ・・・!!」
寝ている瞳から涙が。
・・・・あまりいい夢ではないようです。


頑張れオリビエさん。
明日も彼の朝は早いのです。


いや、つい・・・出来心で。
オリビエさんファンの方には申し訳ないけれど、思いついたからには止まらなくって・・・。
ラジアータストーリーズの「スターさんの華麗なる一日」を見て、ふっと・・・ふっと思いついてしまったのですよ。
スターさんほどの間抜けっぷりは披露できなくて残念でしたけど、それなりに満足です。
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