ここ・・・ロレントのホテルでもそれは変わらない。
旅行客船がきちんと発着するようになり、お客も前と同じように来てくれるようになったのだ。
コレはとても幸せな事。今も、何組かのお客が泊まっている。
まったくもって、遊撃士さまさまだった。
しかし、支配人の顔は晴れない。
一つの事が、ホテル内で問題になっていたのである。
「ホテルに幽霊が出るですって?」
ロレントの遊撃士協会に久々に戻ってきたシェラザードは、支配人・・・ヴィーノから依頼内容を聞くなり怪訝な顔をした。
「はい・・・ここ最近・・・うちのホテルの部屋から、夜な夜なうめき声が聞こえるのです。
うちは、今までそんなことはありませんでしたし、その・・・幽霊が出るような覚えもないのですが、何せ客商売ですから・・・」
支配人はがっくりと肩を落とした。
「なるほど。幽霊のうわさが広まらないうちに、原因を探して欲しい、と。そういうことね?」
シェラザードは、自分の手帳にメモを取りながら確認する。
「えぇ。このままではお客様にも迷惑ですし、ホテルの利用も減ってしまいます。どうかお願いできないでしょうか・・・」
「判ったわ。確かにホテルの一大事ですものね。」
にっこりと微笑むと、支配人はほっとしたようにお礼を言って去っていった。
しかし。
「・・・幽霊って、ホントにいるもんなの?」
支配人が去っていった後。
手帳を見ながらシェラザードは首をかしげる。
「依頼人も幽霊の件は半信半疑みたいだったけど・・・。」
受付に立つアイナも少々考え込み気味である。
「でも、夜な夜なうめき声が聞こえるんじゃ、確かに迷惑ね。
幽霊じゃないとは思うけど、原因不明じゃ何時まで経っても幽霊のままだし。」
「そうね・・・まぁ、とりあえずホテルに張り込みに行きますか。」
シェラザードは、うんしょ、っと背を伸ばした。
「まぁ・・・このところ連日飲んでたじゃない。休肝日にも丁度いいかもね?」
アイナはにっこりと微笑む。
「あれくらいなら大した事ないのになぁ・・・ま、お仕事優先ね。今日はお酒は我慢することにするわ。」
それじゃ、行ってくるわね。
そう言って、シェラザードはギルドを後にしたのだった。
支配人に確認した事はいくつかある。
まず、具体的に幽霊が出始めた時期。どうやら、空賊騒ぎが収まってから・・・らしい。
次に、うめき声が聞こえる時刻。大概、チェックインが全て終了した・・・日付が変わったくらいから、明け方にかけて・・・とのこと。
そして、うめき声の・・・震源地。
シェラザードは、支配人から一番疑わしいという・・・部屋の前に居た。
しかし、お客が滞在しているとのことなので強制捜査は出来ない。
ただ、客にそれとなく話を聞くくらいなら許可する、とのことだった。
聞くべきことを頭でまとめて、シェラザードは部屋をノックする。
「どなたかな?」
と、妙に聞き覚えのある・・・というより毎日聞いている声が返ってきた。
「遊撃士協会よ。ちょっと聞きたい事があって来たのだけど、いいかしら?」
努めて冷静に声を掛けると、ドアがハイテンションに開いた。
「あぁっ!シェラ君ではないかっ♪
僕の部屋までわざわざ訪ねてきてくれるなんて・・・・まさか、僕の事を」
「あーはいはい。それだけは絶対にないから安心して頂戴。」
飛び出してきた金髪の青年・・・オリビエを、パタパタと手を振って制止する。
「うぅ、まだ何も言っていないのに。」
少々しょげたところで可愛げもへったくれもない。
「どうせろくな事言いやしないんだからいいのよ。
しっかし・・・この部屋に滞在してたのがアンタだったとはね。」
なんともありがたみのない縁である。
「ん?この部屋に何かあったのかい?」
オリビエは、きょとん、と首をかしげた。
「いや、大した事じゃないんだけど・・・
オリビエ。このあたりで人を見たとか声を聞いたとかなかった?」
「あぁ・・・このホテルの幽霊の事かい?」
オリビエはなんと言うこともなく切り返してくる。
シェラザードも、これには少々面食らってしまった。
「耳が早いのね。結構なうわさなの?
支配人はあまり広まらないように、って言ってたんだけど・・・」
「んー・・・それなりに聞こえてくるって所だね。もしかして、用事はそれかい?」
・・・話が早い奴だわ・・・
早すぎるがゆえに、やっぱり怪しいのだが。
「ま、そういうこと。
どうも、声がこの部屋中心に聞こえるらしいから、ちょっと調べておこうと思ったのよ。
なんか聞いたり見えたり・・・しなかった?」
しかし、オリビエは首を横に振った。
「残念ながら、僕は知らないな。
綺麗な娘さんがこの美しい僕の声と演奏に惹かれてやってきているかもしれないのに、全くもったいない事だよ・・・・ふぅ。」
キラキラと煌いているように見えるのは間違いなく幻覚だが、彼が手に持ったリュートは幻覚ではない。
オリビエはそのままポロポロとリュートを爪弾き始めた。
「あぁ・・・なぜこの世はこんなにままならないのか・・・僕にお熱なら潔く出てきてくれればよいものを・・・・しかしっ、今日もシェラ君に会えた・・・あぁ、これこそ避けられない運命ー・・・・」
「あーはいはい。世迷言はそれくらいにしときなさい。
ところで、幽霊が女の子って言ってるけど、それは本当なの?」
「うぅ・・・シェラ君のいけずー・・・。」
軽くかわしたのに気をそがれたのか、少々しゅんとした面持ち。
しかし、少し頭を振ると、金の髪が散ってキラキラと輝いた。
「ふっ・・・ホテルに出てくる幽霊ならば、美人の女の子と相場が決まっているだろう。
それに、どうせ僕に会いに来るのならやはり幽霊とは言えど美人さんが好ましいからね。」
「早い話が希望的観測、と。」
シェラザードはため息をついた。
しかし、この部屋の滞在者が知り合いという事は。
「ねぇオリビエ?」
「なんだい、シェラ君?」
「ちょっと捜査に協力してほしいんだけど、いいかしら?
早い話が、今夜ここに張り込ませて欲しいんだけど。」
オリビエの表情がニヤリとだらけた。
「それはつまり、今夜は君と僕と二人きり・・・
ふっ、やっとシェラ君も僕の魅力に気づいてくれたんだねっ・・・!!
もちろん、いくらだって相手しようじゃな・・・」
ピシィッ!!
床を打つ鞭の音に、部屋の空気が凍りつく。
「まったく・・・どこをどう聞いたらそんな解釈が出来るのかしらね。
毎度のことながら、あんたの思考回路って理解できないわ・・・。」
シェラザードは深々とため息をついて、とりあえず近くの椅子を確保したのだった。
ところが。
夜も更け、日付が変わっても。
むしろ星空が朝に溶ける時刻になっても。
一向に声はしない。
昼間に一応昼寝していたので起きてはいられるのだが・・・・
「ふわぁぁぁ・・・。本当に出るの・・・?」
精一杯背を伸ばして、眠気を飛ばす。
「さぁ。なにせ、僕も声を聞いたわけじゃないからね。
ただ、連日という話なのに奇妙だねぇ。」
何故か付き合って起きているオリビエは、ベッドに腰掛けたまま首をかしげた。
「打ちとめってことかしら・・・?」
「さぁ・・・。なんにせよ、今日は被害なしだね。」
「そうみたいね。」
くたびれもうけ、というところらしい。
まぁ、遊撃士にはよくあることではある。
朝日が昇ってしまったところで、シェラザードは遊撃士協会に報告に向かった。
「というわけで、特に何もなかったわ・・・ふわぁぁぁああ。」
型どおりに報告を終えると、かみ殺していたあくびが出てしまった。
「お疲れ様。だけど、コレじゃどうしようもないわ。
引き続き調査お願いできるわね?」
「OK。でも、ちょっと寝かせて・・・。」
「はいはい。どうぞゆっくり休んで頂戴。」
アイナは苦笑しながら、シェラザードをベッドに案内したのだった。
ところが。
その日も。
その翌日も。
さらにその翌日も。
連日のようにオリビエの部屋で張り込むのだが、幽霊の気配はまったく感じられない。
『シェラ君に恐れをなしてでてこなくなったとか。』というオリビエの言はさておき、姿もなければ声もなく、平穏に時間が過ぎていくのである。
おかげでシェラザードの懐には、暇つぶしのカードでオリビエから巻き上げたモノが結構溜まってきていた。
「・・・というわけで、幽霊が出てこないんだけど・・・。」
「えぇ、お陰様でうわさも立ち消えてきています。助かりました。」
支配人は、心なしかにこやかに礼を言う。
「こっちも、お陰でオリビエから色々と巻き上げられたから、まぁ良かったんだけど・・・じゃなくって、・・・えーっと、調査は終わりにしてしまっていいのかしら?」
「そうですね・・・とりあえず、今は終わってくださって結構です。
また現れたらお願いしますが・・・依頼料は、ギルドの方に渡しておきましたから。」
サービスマンだけあって、支配人の手回しのよさはかなりのものだった。
「何もやってないといえばやってないのに、悪いわね。
じゃぁ、これで一応調査は終わりってことにするわ。
また現れたら遠慮なくギルドに来て頂戴。」
「はい。どうもありがとうございました。」
支配人ににこやかに見送られ、シェラザードはホテルを後にしたのだった。
「・・・というわけで、幽霊が出てこなくなったの。コレで捜査打ち切り・・・ね。」
「お疲れ様。一応、こっちが報酬ね。」
ぽんぽん、と書類を纏めると、アイナはお金の入った袋をシェラザードに渡した。
「全く・・・一体なんだったのかしら?」
釈然としない。実はちょっと見てみたかった、というのもあるのだが。
「んー・・まぁ、捜査終わってしまったからなんともいえないわね。
ほら、折角報酬入ったんだし、今日は飲みにでも行ってきたら?」
相方はいつもと同じく冷静かつマイペースである。
「ん、そうするわ。ここ数日飲んでなかったものね。アイナは?今日こそ一緒に行かない?」
「そうねぇ・・・仕事終わったら一緒に飲みましょうか。先に飲んでて構わないわよ。」
目と目を合わせて、にっこり微笑む。
「そうこなくっちゃ♪じゃ、今夜ね。約束よ?」
「はいはい。」
そんな会話のあった夜。
「んー・・・美味しい。」
居酒屋アーベントで、シェラザードはのんびりと酒を飲んでいた。
「シェラ君も、酔い始めは妖艶で美しいんだけどねぇ・・・。」
ほんわりと微笑・・・と一緒に冷や汗を浮かべて相手をするのはオリビエである。
ロレントに一緒に戻ってからこっち、夕食をここで取る二人は、ついでに一杯飲んで別れるのが日課となっていたのだ。
といっても、捜査のお陰で数日振りなのだが。
「またぁ・・・アンタも口が減らないわねぇ。ほーら、もっと飲みなさいな。」
「いやいや、そんなに飲んだら・・・・」
とはいっているが、オリビエは注いだ分はキッチリ飲んでゆく。
「うっふふふふ・・・いい飲みっぷりねぇ・・・。おねーさんほれぼれしちゃうわぁ・・・」
自分もぱかぱかと飲みつつ、相手にも注ぎつつ。これぞ「飲む」ってところである。
オリビエも顔を火照らせて・・・ほら、喜んでいるではないか。
「はっはっは、シェラ君ほどじゃないよ・・・。
しっかし、いつも思うんだけどいい飲みっぷりだねえ・・・・もう4時間経つのに、ペースが落ちないとは・・・」
「あっはっはっは♪それがどーしたってーのよ♪まだまだ飲んだうちには入らないわー。
ほらーオリビエー・・・もっと飲みなさいよー。」
「は・・・はっはっは・・・・あ・・・・ありがたく・・・」
少々ペースが落ちているオリビエに、これでもかと酒を注いでいると、バーテンがラストを告げ来た。
「シェラさん、もうそろそろ閉店なんですが・・・」
「えー、今いいとこなのにー・・・。」
むくれたところに、ぽむ、と肩を叩かれる。
「シェラ君、町の治安を守る遊撃士たるもの、お店に・・・迷・・・惑をかけちゃぁいけないよ・・・。
さぁ。帰るとしようか。」
心なしか嬉しそうに見えるのはなぜだろう。
「オリビエさん、助かります・・・。けど、大丈夫ですか?」
バーテンが、なぜか心配そうにオリビエを見る。
「いやいや、はっはっ・・・は。・・・こ・・・これも紳士としての役割さ・・・・。
さ・・・て、お代だ。ボクは・・・コ・・・レで失礼するよ。」
オリビエはふらふら〜っと踵を返す。シェラザードはそれに引っ張られるようにして居酒屋を出た。
「うー・・・まだ飲みたりないのにー・・・・」
「付き合え・・・なかったことは・・・残・・・念さ・・・
し、しかし、ホテルに迷惑も掛けられないからね。」
そんなオリビエと、協会前で別れて・・・シェラザードはアイナの元に到着していた。
「アイナ〜ぁ。なんでこなかったのー?」
「ごめんなさいね。書類が片付かなかったのよ。
気分よく酔ってるみたいだけど、またオリビエさんと飲んでたの?」
「うん、そぉ・・・。だけど閉店だしチェックインあるからーって帰っちゃったのよー。
つーまーんーなーいーわーーー。」
オリビエは、いつもそれなりに付き合ってはくれるのだが、『チェックイン』と『閉店』のキーワードでいつも逃げられるのだ。
ぶーたれるシェラザードに、アイナは苦笑を返す。
「はいはい。飲みなおしなら付き合ってあげるわよ。ただしギルドの二階でね。
もうちょっと書類に掛かるから、シャワーでも浴びてきなさい。」
「はぁーい。」
酔っ払い状態でシャワーの元へ。
しかし、シャワーとは酔いをかなり洗い流してくれるものである。
流れる水の中で背を伸ばすと、見事に酔いがさめた。
これならば、アイナと今から3日徹夜で飲んでもきっとだいじょうぶ。
「んー、しあわせー・・・♪」
服を着て、まだしけっている髪を丁寧に拭く一時。
いい感じに身体もすっきりと、そしてぽかぽかと暖かい。
そして、この後には酒が待っている。
これを幸せといわずになんと言うのか。
・・・飲み始めはまず、ウィスキーの一気飲みね。
そんなことを考えながらシェラザードはご機嫌だった。
しかし。
「シェラザード!酔いはさめたわね?」
アイナが慌てた様子で駆け込んでくる。
「酔いはさめてると思うけど・・・どうしたの?」
「依頼よ。ホテルに幽霊が出たんですって。支配人が姿を見たんだそうよ。」
「・・・なんですって?」
ここ数日、張り込んでいた時には出なかったくせに、なぜこんな時に出てくるのだろうか。
「とにかく、ちょっと行って欲しいの。お願いできるわね?」
「もちろんよ。
しっかし、幽霊ってのももうちょっと時間を選んで出てくればいいのにねえ・・・」
よりによって、お酒の目の前で出てこなくてもいいのに・・・と思うのはいけないことなのだろうか。
「ま、そういうこともあるわ。お仕事終わったら一緒に飲みましょう。」
「その言葉聞いたら元気出てきたわ。
はやいとこ幽霊を消してしまいましょう!お酒のために!!」
そう、お酒のために。ついでに、ホテルの平和のために。
彼女は、幽霊の出たというホテル前に来ていた。
ちなみに、出掛けに協会で聞いた支配人の話は以下のとおりである。
依頼人・・・支配人の説明は、まさに怪談だった。
しかし。
・・・こんなところで、水死体の幽霊が出るような事ってありえないわよね。
地下水路で溺れたなんていう話は聞かないし、海も湖もはるかかなた。
川で溺れて亡くなったという人がいたにしても、わざわざホテルまで出向いたりはしないだろう。
とりあえず、支配人とともに、幽霊が居たという部屋の前へいく。
そう・・・ここ数日張り込んでいたオリビエの部屋。
中からは、・・・やはり、うめき声ともなんともつかない声がかすかに聞こえていた。
一応ノックして。
「オリビエ、居る?」
「・・・・し・・・シェラ君っ・・・!?」
うめき声がふっと止まった。
代わりに聞こえてきたのはスチャラカ演奏家の・・・どこか恐れおののくような返事。
「開けてくれないかしら?ちょっと捜査の関係があるんだけど。」
「あ・・・あぁ。今あける。」
そして、幽霊の部屋の扉は開かれた。
部屋は闇。オリビエは、手持ちの明かりを持って出てきた。
ぬれた髪、なぜかげっそりやつれた顔、かすかな明かりのおかげでどこか変な光を放つ瞳。
それを見た瞬間、支配人は後ずさり・・・いや、シェラザードも思わず一歩引いたのだが・・・。
真相は文字通り明るみに出た。
そして、事件はあっけなく解決したのだった。
「・・・オリビエの奴、私と飲んだときは毎回のように胃の中のものを吐いてはシャワーを浴びて寝る、なんて不健康な生活してたらしいわ。
道理で、私がはりこんでたときに幽霊が出てこないわけよ。オリビエが幽霊に会ってないのも当たり前ね。本人ですもの。しかも自覚ナシときたもんだわ。
うめき声はオリビエのもの。うめき声の原因はお酒の飲みすぎ。
真っ青かつげっそりとした顔で、しかも暗闇で下から明かりで照らされてたんじゃ、幽霊と間違われてることだってあるわよね。
まったく・・・男の癖にだらしないったら・・・
以上!コレで報告はおしまいよ。」
このアホな事件のお陰で、結局その夜のアイナとの飲み会は流れてしまった。
まったくもって苦々しい限り・・・と表情に出ているのももちろん自覚はある。
「はいはい、ご苦労様でした。
でも、それなら幽霊騒ぎの原因の一端はあなたにもあるようね?」
アイナは苦笑いしながらこちらを見上げる。
シェラザードは、ふい、と視線をそらした。
「アレぐらい男として飲めなくてどうするのよ。
大体、別れる時だっていつもろれつ回ってたんだからわかるわけないじゃない。」
いくらでも飲めるものだと思っているのに、なんでこうなるのか。
ちなみに、オリビエのほうは、只今現在教区長お手製のアルコール中和剤を飲んでホテルで寝ていたりする。
「やれやれね。
ま、原因もわかったから、幽霊騒ぎになる事はもうないでしょう。・・・支配人はため息ついてたけど・・・これ以上は、どうにもならないものね。」
「私だってため息つきたいわよ。折角アイナと久々に飲めると思ったのになぁ。」
・・・まったく。今度会ったら飲み損ねた分付き合わせがてら請求してやるわ。
シェラザードは心中で決意を固める。
「まぁ、また飲める機会はいくらだってあるわ。そんなに残念がる事もないわよ。」
アイナは、そんなシェラザードを・・・まるで姉のように・・・なぐさめるのだった。
ロレント夢の一ヶ月・・・の話、いつか書きたいと思ってたんですけど、このたびなぜかネタに恵まれ、書くことが出来ました。ただ、ギャグパート減っちゃいましたけど(汗)
オリビエ・シェラザード・アイナの三人が出張ってます。アイナさんってきっとシェラさんよりお姉さんじゃないかなーと、勝手な妄想の元に書きました。それっぽくなってりゃいいけど。
実は、一瞬百合とも何ともつかない想像をしてしまったのは秘密です・・・あ、もちろん、オリビエ&シェラなカップリモノのつもりもございません。色気ないでしょ?
長くなってしまったのが心残りです。もう少し短ければ見栄えも読むのに苦にならない長さだったんだろうけどなあ・・・・
ちなみに、題名はオペラ座の怪人英語訳をもじっただけです。ホテルロレントの怪人ってとこですか。怪人=音楽家イメージあるので。
オリビエ・シェラザード・アイナの三人が出張ってます。アイナさんってきっとシェラさんよりお姉さんじゃないかなーと、勝手な妄想の元に書きました。それっぽくなってりゃいいけど。
実は、一瞬百合とも何ともつかない想像をしてしまったのは秘密です・・・あ、もちろん、オリビエ&シェラなカップリモノのつもりもございません。色気ないでしょ?
長くなってしまったのが心残りです。もう少し短ければ見栄えも読むのに苦にならない長さだったんだろうけどなあ・・・・
ちなみに、題名はオペラ座の怪人英語訳をもじっただけです。ホテルロレントの怪人ってとこですか。怪人=音楽家イメージあるので。
部屋と廊下を確認してから、自分も寝る支度をするのですが・・・
その時、また、あのうめき声が聞こえたのです。
それは、地を這うような声で・・・しかし、前に聞いていたのと同じ声でした。
それで私は、とりあえず声のするほうへ行ってみたのですが・・・
また、あの部屋だったんです。
今日は、扉も半閉まりで。小さな導力灯一つ分くらいの明かりが漏れていたので、失礼ながらそっと隙間から覗き込んだのですが・・・
居たんです。幽霊とも亡霊ともつかないものが。
人の形をしていたのは間違いありません。
何か白く浮かび上がっていて、ぬれた髪からは水が滴っていました。
そして、こちらを振り返って・・・
その目が・・・死人の目としか言いようのないものだったのです。
情けない事ですが、私も怖くて・・・慌ててギルドに伺ったというわけです・・・。