リシャール大佐を追って、古代の遺跡に足を踏み入れたはいいのだが、そこは凶暴な機械人形の巣窟だった。
そして、もう何体来たかも判らない・・・機械人形がまた目の前をふさぐ。
「うるぁあああ!!!」
重剣を片手に、彼は目の前の大型機械人形に向かっていく。
後ろに居るのは、一応の後輩二人と・・・意地としか言いようのないものだろうか・・・ここまで付いてきてしまった少女。
何がどうあっても守らなくてはいけなかった。
金属がひしゃげる音が響く。重さと力の分、破壊力のある自分の愛剣は大抵のものを一撃で仕留められる。
・・・しかし、敵はまだ生きていた。
残ったアームと思しきものが横振りで彼に襲い掛かる。
「くっ!」
彼は防御のために重剣を持ち上げる。
しかし、破壊力のために犠牲にした獲物の軽さ・・・間に合わない、と直感的に感じた。
ダメージを最低限に抑えようと、身体は反射的に身をかがめる。
「だめーーーー!!!」
ダメージの代わりに襲って来たものは、少女の悲鳴と、隣で起こった爆音。
「!?」
おもわず後方を振り向くと、ティータは、顔を真っ赤にして銃口から未だ煙の上がる導力砲を構えていた。
先ほどの爆音は間違いなくティータの仕業。
そして、自分を襲っていた機械人形は、今はティータのほうを向いている。
「怪我・・・させたら・・・許さないんだからっ・・・!!」
言葉とは裏腹に、ティータの身体は小さく震えていた。
機械人形の無機質なレンズが鈍く光る。
考える前に体が動いた。
重剣を持っているとは思えないほどの素早さで、ティータの前に躍り出る。
高らかに金属と金属が打ち合う音。
・・・間に合ったかっ・・・!!
ここから、一度振りかぶって斬り降ろせば多分人形は壊れる。
しかし、振りかぶっている暇は・・・
と、目の前の人形が爆音と共に後ろに飛んだ。
チャンスを逃がす事もない。
振りかぶって、渾身の力で振り下ろす。
人形はさらに吹き飛んで、爆発、四散した。
目の前の敵を片付けたところで、アガットはティータに向き直る。
ティータのほうは、肩で息をしながらその場にへたりこんでいた。
「お前な、・・・無茶するなと何回言ったらわかるんだ?」
「で、でも」
びくりと震えて、それでも、ティータはこちらをまっすぐ見据えた。
「私にだってこれくらいの事はできますからっ。できるだけのことはさせてください。」
コレはてこでも動かない。
強情さは、実はもうイヤと言うほどに味わってきたのを思い出す。
・・・言っても無駄か。
それに、それで諦めるくらいならこんなところまで付いてきていない。
「ほんっとうに無茶だよな、お前・・・。」
アガットは一つ息をつく。
「でも、無責任はやりませんからっ・・・。」
見上げる視線は何よりも強い。
「ああ、そう言ってたよな。
・・・その言葉忘れるなよ。ほら、立てるな?」
ほっとした顔を見せるティータに手を差し伸べる。
「あ、は、はいっ!」
ティータはおっかなびっくり・・・それにつかまって立ち上がる。
「ああ・・・そうだ。」
「はいっ?」
またびくりと震えるティータにもう一つだけ。
「・・・さっきは、ありがとな。
いいサポートだった。」
「あ、ど、どういたしましてっ。」
ティータはそういってぎゅっと手を握ると、照れたような笑顔を見せたのだった。
本当は拍手用に書いてたものなので、短いです。
だけど、拍手にするにはちょー・・・っと長いんですよね(汗)
この二人。きっとこの状態なら誰に対しても同じ対応するだろうな、何て思いつつ、この二人だとかっこいいかななんて思いつつ書いてました。
結果だけ見てればアガット別人。でも、それなりにらしく出来たかなと思ってます。