身体がふわふわと揺れる感覚に、ティータは目を覚ました。
(あう・・・)
意識がはっきりしない。どうやら眠ってしまっていたようだ。
頭を必死に働かせて、記憶をたどる。
確か、久しぶりに宿屋に泊まり、夕食をとっていたはずだ。
おじいちゃんとアガットさんと一緒に、暖かい食卓を囲んでいることがなんだかとても嬉しくて、
すごくはしゃいでしまったのだが、そこから先の記憶がない。
そもそも、自分は今どんな状況なのだろう。
重たい瞼を頑張って開く。
(ふぇ!?)
自分が置かれている状況に、ティータは思わず声を上げそうになった。
(あ、アガットさん!?)
ティータはおぶわれていた。
いつもは重剣を背負っているアガットの背中に。
おそらく、食事中に眠ってしまったティータを、部屋へと運んでくれているのだろう。
(あきれられちゃったかなぁ・・・)
はしゃぎ疲れて食事中に眠ってしまうなんて、なんて子供なんだと。
自分達2人を守りながらの逃亡生活で、きっと一番疲れているに違いないのに・・・。
だが、アガットには悪いが、不思議と降りて自分で歩こうという気は起きなかった。
(アガットさんの背中・・・おっきくて、あったかいな。・・・お父さんみたい)
そんなことを面と向かって言えば、きっとまた怒鳴られるのだろうけど。
その様子を簡単に想像できて、ティータは思わず笑いそうになるのをこらえた。
笑ってしまって、起きているのがわかったら、きっとすぐに降ろされてしまう。
(もう少し、このままでいたいな。いいよね・・・)
心地よい揺れと温もりに身を任せ、ティータは再び目を閉じた。
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