TOP
|
前へ
|
次へ
|
管理
WEB拍手ログ
> ぎゅっとしてみた 〜空の軌跡・SO1・SO2〜 > シウスとフィアの場合(SO1)
シウスとフィアの場合(SO1)
「こんなにのんびりするのは久しぶりだ。騎士団ではずっと肩肘張ってたからな。」
ホッとしたような顔で、フィアはそう言って伸びをした。
ムーア大陸にわたってから、フィアは何かのほほんとした顔をしていることが多くなった。温暖な気候と、アストラルから離れた事が効いているのだろうか。見慣れたキツい感じからは大分遠い。
「・・・なあ・・・・フィア。」
「なんだ?」
振り返るフィアに、シウスは一息ついて先を続けた。
「・・・苦労かけて悪かった。騎士団のことだ。」
「・・・・・・な・・・・。」
目が大きく見開かれる。そのまま固まる事2秒。フィアは一つ首を振った。
「・・・今更何を言っている。」
「ああ、本当にな。」
「大体・・・気にするくらいなら最初から行くな。」
ぼそりと呟かれる、くすぶり続ける怒りの言葉は、やはり痛い。しかし、それは受け止める義務のあるものだった。
「ああ、そうだったな。すまない。」
「全くだ。謝られてどうなるってものでもないだろう。」
むくれているようで、その言葉は少し軽い。
「・・・でもな、シウス。・・・その一言で私は報われたような気がする。」
苦労がわかってもらえたようで、なんだか嬉しい。
そう言うと、ちょっと手を貸せ、とフィアは手を差し出した。その手に自分の手を重ねると、力いっぱい握られる。
「っててっ。何すんだ!」
「ふふ、これくらいはな。」
フィアはくすくすと笑った。握り締められた手は離れない。
「シウス。お前には外が合ってるんだろう。旅していると、そう感じるんだ。」
「フィア・・・。」
フィアの視線が手のほうに落ちる。
だけど、必ず帰って来い。
手に、ぎゅっと力を込められて、その言葉は吐き出された。それを最後に、フィアは「もう行く」と、こっちの返事も聞かずに行ってしまう。
一人残されて、その後姿を見る。
「・・・そうだな。」
ぼそり、とつぶやくと、シウスもその場を後にしたのだった。
このページの先頭へ
|
TOP
|
前へ
|
次へ
|
管理