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WEB拍手ログ
> 休息 〜Legend of Heroes VI〜 > ヴァルターさんとキリカさんの場合。
ヴァルターさんとキリカさんの場合。
「水、水っ・・・と。」
ベンチにおいていた水を思い切りあおって、そこに腰掛けると、少し生き返った。
「ふー・・・やれやれだ。」
一息ついたところで、目の前にタオルが出てきた。
「お、気がきくな。」
タオルが出てきた方を見れば、キリカが隣からこちらも見ずにタオルを差し出している。
「汗臭いのが少しでもマシになればと思って。」
「・・・・・そりゃ悪かったな。」
タオルを掴んでがしがしと頭から拭く。
「別に悪くはないわ。汗をかいたんだから当たり前の事でしょう。」
そう言いながら、キリカは手元に置いていたらしい扇子で自身に風を送る。
「お、いいモン持ってんじゃねえか。俺にも・・・」
「自分で持っていらっしゃい。」
涼しげなキリカを横目で睨んで、一つため息。
「・・・ったく、可愛くない奴・・・」
「別に貴方は私にそんなものは期待していないでしょう。」
ならいいでしょう、というような声。
「ああ、そうだな。おまえはそういう奴だ。」
日常茶飯事のやりとり。今更なんとも思わない・・・のだが、少しは抗議したい気分でもあった。汗だくになるほど動いたおかげで少々疲れていた、というのもある。
ベンチを立つように見せかけて。
どん。
「!」
キリカの脚の上に頭を乗せると、下を見たキリカの瞳が思い切り見開かれた。少々してやったり気分である。
「ヴァルター。何の真似?」
声は常より少し寒い。・・・が、気にせず嘯いてみせる。
「こっちなら風が当たるかと思っただけだ。」
「・・・・そう。まあ、間違っては居ないわね。」
「だろう?」
引き締まった脚は、女性らしく適度に柔らかくて非常に居心地がよかった。
「私としては、重くて邪魔なのだけど。」
「いい鍛錬になるんじゃないか?」
そう言って目を閉じてみせる。ややあって、キリカのため息が漏れた。
「仕方ないわね。休憩の間だけよ。」
声の内訳はため息、呆れその他悪感情で8割・・・残り2割が少々柔らかい。だから、好意はありがたく受け取る事にした。
「おう。ありがとな。」
今度は息を呑む音が聞こえた。何があったのかと目をあける。
「・・・貴方でもお礼が言えたのね。」
ややあって呟かれた非常に失礼な言葉に、ヴァルターは軽く鼻を鳴らした。
「ふん。何とでも言え。」
風が、顔を撫でていく。
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